Oracle9iで提供したOracle Enterprise Managerを機能拡張。 DBサーバー用,APサーバー用,グリッド用の3つのコンポーネントからなる。 Grid Controlを使って多数のサーバー群を統合管理できる。 Oracle 10gで搭載された新機能,特に自動化に関する機能と連動することで管理性の向上を実現。

図1●Oracle Enterprise Manager 10gの主な特徴
図1●Oracle Enterprise Manager 10gの主な特徴
Oracle9iまでJavaアプレット・ベースのものとHTMLベースの2種類が存在したが,Oracle 10gからHTMLベースのものに統一された。Oracle Database 10gやOracle Application Server 10gの両方を1つのコンソールで扱えたり,各製品の自動化機能との連携を強化したりするため操作性が向上した
 Oracle Enterprise Manager 10gは,Oracle 10g製品に関するWebベースの新しい統合管理ツールである。Oracle9i Databaseで用意されたOracle Enterprise Managerは,Javaアプレットで開発された専用ツールであった。同様にOracle9i Application Serverでは,OEM Websiteと呼ぶWebベースの管理ツールがあった。Oracle Database 10gおよびOracle Application Server 10gのリリースに伴い,WebベースのアーキテクチャをOEM Websiteに引き続き採用するとともに,それぞれの新機能と連動するように開発された。新たに開発されたOracle Enterprise Manager 10gは図1[拡大表示]のような特徴をもつ。

 これらの機能を実装するため,Oracle Enterprise Manager 10gは大きくわけて,

(1)Oracle Enterprise Manager 10g Database Control(Database Control),

(2)Oracle Enterprise Manager 10g Application Server Control(Application Server Control),

(3)Oracle Enterprise Manager 10g Grid Control(Grid Control)――という3つのコンポーネントからなる。

 (1)Database Controlは,Oracle Database 10g用の管理コンソールである。同様に(2)Application Server Controlは,Oracle Application Server 10g用の管理コンソールとなっている。Webベースの新しいOracle Enterprise Manager 10gは,すべてのOracle製品のインストール時に自動的にインストールされる。Oracle Database 10gにはデフォルトでDatabase Controlが,Oracle Application Server 10gにはApplication Server Controlが付属しており,製品のインストール後すぐに,データベース管理者(DBA)は,Webブラウザを用いて利用できる。(3)Grid Controlは,グリッド環境下での集中管理フレームワークであり,複数のデータベース,複数のアプリケーション・サーバー,ホスト,ストレージ・システム,サーバー・ロード・バランシング・デバイスなど,異機種システム集合の管理を透過的に行うための機能を提供する*1

OEMにも自己監視機能を搭載

図2●OEM 10gの仕組み
図2●OEM 10gの仕組み
OEM 10gは3つのコンポーネントから成り立つ。またOracle Management Serviceやエージェントを監視するウォッチドック機能もあり,これらのプロセスが異常終了した場合,自動的に再起動するようになっている

 Oracle Enterprise Manager 10gは,HTMLベースのコンソール,Oracle Management ServiceとManagement Repository,Oracle Management Agentという4つのコンポーネントからなる(図2[拡大表示])。

 管理コンソールは,J2EE WebアプリケーションであるOracle Management Serviceと情報をやり取りする。Oracle Management Serviceは,Oracle Enterprise Manager 10g内で管理されるすべての管理者,ターゲットおよびアプリケーションに関するすべての管理情報をOracle Management Agentに収集させ,リポジトリManagement Repositoryに格納していく。Oracle Management Agentは,軽量のプロセスで監視対象のホストごとに配置される。Oracle Management Agentは,ホスト上のすべてのサービスの監視やOracle Management Serviceとの監視情報のやり取り,および管理対象のサービス上に対するリモート操作の実行を担う。すべてのコンポーネント間はHTTP(S)で互いに通信する。

 Oracle Enterprise Manager 10gも,コンポーネントの可用性と機能を確保するために,自己監視機能を搭載する。Oracle Management ServiceとOracle Management Agentには,該当するプロセスを監視する独自のウォッチドッグがそれぞれ用意され,きちんと動作しているかを監視する。Management ServiceやManagement Agentが異常終了した場合は,ウォッチドッグがプロセスを自動的に再起動させる。