自己管理機能によって変わるバックアップとリカバリ

図10●自動バックアップの新機能の概要
図10●自動バックアップの新機能の概要
オンディスク内にフラッシュバック・リカバリ領域を作成することで,リカバリを素早く行うことが可能となる。前回のバックアップ以降に変更されたブロックのみをバックアップできたり,データベース変更の生じた物理的な場所を変更追跡ファイルに書き込んでおいたりすることで,バックアップ時間が短縮できるようになる
 Oracle Database 10gでは,新しい初期化パラメータDB_RECOVERY_FILE_DESTを使用してフラッシュ・リカバリ領域と呼ばれる格納場所を定義し,Oracleデータベースに含まれるすべてのリカバリ関連ファイルをそこに格納する(図10[拡大表示])。制御ファイル,アーカイブ・ログ・ファイルに加え,Oracle Database 10gで導入したフラッシュバック・ログ,Recovery Managerバックアップなど,メディア障害からデータベースを完全にリカバリするために必要なファイルはすべて,フラッシュ・リカバリ領域に格納される。フラッシュ・リカバリ領域に十分な領域を割り当てることで,Oracleデータベースのリカバリを高速化,簡素化および自動化を実現できる。フラッシュ・リカバリは,リカバリ関連ファイルを一個所に集約すると同時に,格納されたファイルの領域使用率を最適化し,領域不足の発生を回避できる。指定されたRecovery Managerの保存方針に基づいて,フラッシュ・リカバリ領域はその構成で不要になった古いバックアップやアーカイブ・ログを自動的に削除する。

 Oracle Database 10gでは,増分バックアップ*11を高速化するために,変更追跡ファイル機能を導入した。ブロック変更追跡機能を有効化すると,すべてのデータベース変更の物理場所が追跡され,Recovery Managerでは変更追跡ファイルを自動的に使用して増分バックアップで読み込む必要のあるブロックを判別し,そのブロックに直接アクセスしてバックアップする。これにより,毎日のバックアップに必要な時間が短縮され,ネットワーク経由のバックアップ時にはネットワーク帯域幅を節約でき,さらにはバックアップ・ファイルのストレージ容量を削減できる。

 Oracle Database 10gでは増分バックアップを使用して前回のバックアップを更新することも可能にした。Oracle Database 10gの増分更新バックアップ機能では,データ・ファイルのイメージ・コピーをRecovery Managerの増分バックアップとマージして,増分バックアップによって取得された変更を含む更新バックアップを作成する。この機能により,データベース全体を繰り返しバックアップする必要がなくなる。所定のデータベースについて全データベース・バックアップを1度作成すれば,後は増分バックアップを使用してフル・バックアップを最新の状態に保つことができる。このように高速化されたバックアップ機能を使い,Oracle Database 10gの自動スケジュール機能とあわせて,効率的な自動バックアップを実現する。


(山本哲也 = 日本オラクル マーケティング本部 システム製品マーケティンググループ担当マネジャー)