米Salesforce.comは6月13日,インターネットを介して携帯電話から利用できるCRMサービス「salesforce.com Mobile Edition for au」を発表した。Salesforce.comの提供するCRMサービスの一部(営業支援機能)を,au(KDDI)の携帯電話から利用可能にする。ネットワーク・プロトコルはSOAP,データ形式はXMLを使っている。Salesforce.comとKDDIはこのサービスに関して業務提携し,日本法人のセールスフォース・ドットコムとKDDIが共同で販売する。

 salesforce.com Mobile Editionの特徴は,携帯電話とCRMのサーバーが直接SOAPでやり取りすること。これまでも携帯電話からCRMシステムを利用するケースはあったが,その場合「CRMのサーバーと連携するためのゲートウエイ・サーバーを設置していたため,機能追加や利用者の追加に伴いゲートウエイ・サーバーの増強が必要だった」(KDDI)。salesforce.com Mobile Editionはゲートウエイ・サーバーが不要なサービスなので,こうした課題はなくなる。

 携帯電話にSOAP/XMLを処理するミドルウエアを搭載し,Salesforce.comが提供するインターネット上のCRMサーバーと連携する仕組みである。ミドルウエアにはデータベースが含まれるので,あらかじめデータを取り込んでおけばオフライン状態でもデータの参照や編集ができる。また,携帯電話を紛失した場合に備え,リモート操作で携帯電話上のデータを消去する機能を備えた。

 Salesforce.comは従来からWebサービスのインタフェースを提供しており,今回のサービスではそのインタフェースを使っている。携帯電話上で稼働するミドルウエアは約300Kバイトで,インターネットからダウンロードして携帯電話に取り込む。このミドルウエアは,携帯電話向けのアプリケーション開発プラットフォーム「BREW」上で動作する。当面利用できる携帯電話はKDDIの「W31K」と「W31SA」で,順次WINシリーズのほかの機種(一部を除く)にも対応する予定。携帯電話に格納できるデータ・サイズは,W31KとW31SAの場合5Mバイト。

 salesforce.com Mobile Editionは8月1日から無料サービスを,10月1日から有料サービスを開始する予定である。価格は1ユーザー月額1575円。別途基本サービスとして,「salesforce.com Professional Edition(1ユーザー月額7875円)」か,「salesforce.com Enterprise Edition(1ユーザー月額1万5750円)」のいずれかの契約が必要になる。

(松山 貴之=日経システム構築)

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