携帯電話から電話をかける際に,専用サーバーを経由することでセキュリティの向上などを狙えるというサービスが,NTTコミュニケーションズ(NTTコム)の「Click to Connect」(以下C2C)だ。NTTコムが運営するC2Cサーバーがネットワーク上の電話帳機能や音声情報の中継を担うことで,端末紛失時の情報漏えいや私用通話の切り分けなどが可能になる。同社は,東京・池袋のサンシャインシティ文化会館で開催中のイベント「IPテレフォニー&ケータイソリューション2005」でデモンストレーションを行っている。

 具体的な通話の仕組みは以下の通り。C2Cのユーザー端末である携帯電話機もしくはパソコンには050番号が付与される。利用者はC2Cサーバーに電話番号を登録した「ネットワーク電話帳」にインターネットを通じてアクセスし,発信先を指定する。C2Cサーバーは,発信元の携帯電話番号に対して発呼し,C2Cサーバーと携帯電話の間で通話を確立する。それから,C2Cサーバーは発信先の電話を呼び出し,C2Cサーバーとの間で通話を確立する。この際,発信元の電話番号は050番号が表示される。双方の通話が確立された時点で,C2Cサーバーが音声情報を中継することにより,発信元と発信先の間で通話できるようになる。

 会場でのデモンストレーションは,050電話番号を付与されたFOMA端末でネットワーク電話帳にアクセスし,一般の携帯電話と通話するもの。発信先の携帯電話には,発信元のもともとの電話番号ではなく,C2Cの050番号が発信元として表示されていた。

 こうした仕組みにより,(1)取引先などの電話番号を携帯電話機に保存する必要がなくなり,端末の紛失時に顧客情報が漏洩することを防げる,(2)1台の携帯電話機での通話を私用と業務用に分けることが可能になり,社用携帯電話機の配布が不要になる,(3)個人所有の携帯電話機を使う場合でも,取引先に携帯電話の番号を知らせずに済むといったメリットがある。通話中にC2Cサーバーから通話先を追加することにより,三者通話も可能。C2Cサーバーに情報を置かず,社内のグループウエアのアドレス帳データと連携する機能もオプションで用意している。

 初期費用は基本工事料金1050円のほか,交換機工事料(1万6800円),番号追加登録料(2番号目から050番号1つごとに735円)など。月額基本料金は050番号1つごとに1050円。50番号を超える場合は基本料金のディスカウントもある。価格はいずれも税込み。


(仙石 誠=日経システム構築)



5月19日~20日、サンシャインシティ文化会館(東京・池袋)で開催(日経BP社主催)。
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