「中堅・中小企業にERPパッケージを販売する上で,Oracleのブランドは通用しなかった。むしろ(大企業向けで価格が高いイメージがある)ブランドがマイナスになっていた」――。

 日本オラクル代表取締役社長の新宅正明氏は5月10日,ERPパッケージの販売に関するキヤノン販売との提携発表の席上でこのように語った。「この市場で勝ち残るために,中堅・中小企業に強いパートナーを探していた。それがキヤノン販売だった」と続ける。

 提携内容は,オラクルのERPパッケージ「Oracle E-Business Suite Special Edition」をベースに「キヤノン DECISION SUITE」という中堅・中小企業向けの新製品を共同開発し,これをキヤノン販売グループが6月から販売するというもの。価格は,会計・販売管理パッケージの場合で,ハードやソフト,構築サービスを含め,1900万円台になるという。

 キヤノン販売は「キヤノン DECISION SUITE」の販売で,ITサービスの売り上げ拡大を狙う。同社代表取締役社長の村瀬治男氏は,「ハードウエアなど単なる機器販売だけではなく,ITサービスを軸に生まれ変わることが悲願。そのためには,まだ未開拓である中堅・中小企業向けの市場にERPパッケージを売り込むことが必須だと考えた」と語る。

 キヤノン販売は今後3年間で,320セット100億円の売り上げを目指す。同時に,生産管理パッケージや環境管理会計パッケージなど,パッケージの種類を増やしていく予定だという。

(松浦 龍夫=日経システム構築)