NECは2005年4月25日,クライアントPCのソフトウエアやデータなどをサーバーに統合し,ネットワークを通じてユーザーが利用する「クライアント統合ソリューション」を発表した。同社は従来から米Citrixのミドルウエア「MetaFrame Presentation Server」や米Sun Microsystemsの「SunRay」を利用したシン・クライアント・システムを提供していたが,これに加えてPCの実行環境を仮想化してサーバーで一元管理する「仮想PC方式」,PCのストレージをサーバーに集約して各PCの起動時にマウントする「ネットブート方式」のシン・クライアント・システムを提供する。仮想PC方式,ネットブート方式とも利用するアプリケーションに制約はない。ハードディスクを装備しないクライアント端末を用いることもできるため,情報漏えい対策に有効である。

 仮想PC方式では,NECが開発した仮想化ミドルウエア「VirtualPCCenter」を使う。これにより,サーバー上でクライアントOSとアプリケーション・ソフトを一元管理し,ユーザーごとの実行環境を仮想的に構築する。この環境で実行された画面を専用クライアント端末に転送する。画面転送のプロトコルにはRDP(Remote Desktop Protocol)を使う。仮想PC方式の場合,複数のサーバーを用意しておけば,サーバーの負荷が高くなったときに,自動的に負荷分散できる。

 ネットブート方式では,PCのストレージをサーバーに集約する。米Ardenceのミドルウエア「Ardence」を介して,PCはサーバー上のハードディスクからOS,アプリケーションを起動する。専用のクライアント端末はBIOS起動時にネットワークに接続し,各ユーザーに割り当てられたサーバー上のストレージ領域を起動ドライブとしてマウントする。CADなど処理性能を要求するアプリケーションを使う場合には,サーバーに負荷をかけずに,クライアントPCの性能を高めることで対応できる。

 MetaFrameおよび仮想PC方式に対応した端末として「TC-Station」(価格は5万5000円,税別)を開発中。出荷は2005年7月。ネットブート方式には「Express5800/51Lc」が対応する。価格はCeleron Dモデルが6万9800円,Pentium4モデルが8万9800円(いずれも税別)。出荷は2005年6月。100クライアント端末規模のシステム価格は2000万円から(サーバー,ミドルウエア,クライアント端末などを含む)。

(仙石 誠=日経システム構築)

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