トレンドマイクロは4月11日,企業向けウイルス対策ソフトの新版「ウイルスバスター コーポレートエディション 7.0」を5月18日に出荷すると発表した。最大の特徴は,スパイウエアを隔離して削除するというオプション機能を追加したこと。

 スパイウエアは,ユーザーが望まない活動やユーザーの迷惑になり得る活動を(多くの場合は秘密裏に)ユーザーのPC上で繰り広げるプログラムのこと。ユーザーの個人情報や嗜好情報を抜き出してスパイウエアの作成者に転送したり,抜き出した情報に基づいてWebブラウザを制御してポップアップ広告を表示させたりする。トレンドマイクロが2005年3月に企業の従業員525人に調査したところによると,28.6%がスパイウエアに感染した経験を持ち,82.1%が脅威と感じている一方で,未対策の企業は約48.5%以上に達しているという。

 そこでウイルスバスター コーポレートエディション 7.0では,従来から可能だったスケジュールに従ってスパイウエアを検出する機能に加えて,リアルタイムで隔離/削除する機能を追加した。この追加機能を使うには,「ダメージクリーンナップサービス」と呼ぶオプション・ライセンス(5ライセンスで1万6000円)を購入し,ライセンス・キーを管理者向け画面で登録する必要がある。登録すると,PC上にインストールされた監視エージェントが,感染済みのスパイウエアを見つけ,関連するファイルやレジストリ情報をまとめて安全なファイルにし,隔離する(画面)。隔離したファイルは,不要なら削除することもできるし,有害なものでなければPC上に復元することも可能だ。復元したソフトは「例外リスト」に加えることで,次回以降の検出ではスパイウエアとして扱われなくなる。スパイウエアによる感染活動をリアルタイムに識別し,感染を阻止する設定も可能である。隔離/削除などの情報は,自動的にログに記録される。

 ほかには,次のような点が強化/改善された。スキャン処理の64ビット対応(Windows Server 2003/Windows XP),クライアントの接続状況をログ出力する機能をサポート,ウイルス・スキャンに使用するCPU消費量を3段階で選択可能,ポリシー情報の最短更新周期を1時間から5分間に短縮--などである。価格は,クライアント向けのウイルス対策機能を搭載する「ウイルスバスター コーポレートエディション 7.0」が3万6000円(5ライセンス)~,パーソナル・ファイアウォール機能を追加した「同 アドバンス」が4万9000円(同)~。サーバー向けの「同 サーバ版」は,ウイルス対策のみで6万9000円(20ライセンス),パーソナル・ファイアウォール機能を追加した「同 アドバンス サーバ版」で9万40000円(同)。

 トレンドマイクロは2005年後半,同社のセキュリティ・ゲートウエイ製品「InterScan Web Security Suite」にもスパイウエア対策機能を盛り込む計画だ。「各ホスト上だけではなく,ネットワーク経路上でもスパイウエアの活動を防ぐ」(マーケティング統轄本部 プロダクトマーケティンググループ プロダクトマーケティングマネージャー 小林伸二氏)。具体的には,スパイウエアの侵入を防ぐとともに,侵入元となったサイトへのアクセスを遮断したり,スパイウエアの送信先への情報流出を阻止したりする見込みだ。

(実森 仁志=日経システム構築)