情報処理推進機構(IPA)は2005年3月22日,日本OSS推進フォーラムを通じてオープンソース・ソフトの性能および信頼性を評価する環境と手順を定めた文書を公開した。これにより,これまで一定の評価基準や手法がなかったオープンソース・ソフトに関し,統一された定量的な評価が可能になる。

 IPAが公開したのは,「OSSの性能・信頼性評価/障害解析ツール開発」プロジェクトの成果としてのもの。Javaアプリケーション・サーバー,データベース・サーバー,Linuxの3分野について,使用するベンチマーク・ソフト,評価用の環境,評価手順などについて,一定の手法を定めた。これに沿うことで,異なるSIベンダーが開発したシステムや,異なるソフト間で,共通の条件下で性能が比較できる。

 例えばデータベースでは,「オンライン・ショップ」「意思決定支援システム」といった実用途を想定した評価手法のほか,大規模なデータロードやインデックス再構築などの基本性能の評価に対する手順を定めている。商用ソフトも同じ基準で評価できるため,オープンソース・ソフトと商用ソフトを統一基準に基づいて比較するといったことが可能になる。公開された文書は分野ごとに分かれており,それぞれ日本OSS推進フォーラムの開発基盤ワーキング・グループのWebページから入手できる。

 合わせて,同プロジェクトで開発した,障害解析用のツールも公開した。ツールは3種類あり,短時間で障害時のメモリー・ダンプを解析する「Alicia」,Linuxカーネルの障害解析用のデータ取得や,ボトルネックの解析を可能にする「LKST(Linux Kernel State Tracer)」,ファイル断片化状況の解析や予測に使う「DAV」である。いずれもオープンソース・ソフトとして,開発主体となったユニアデックス(Alicia),日立製作所(LKSTとDAV)が公開した。

(仙石 誠=日経システム構築)