ベンダーの見積もりをベースにシステム開発の予算を確定しているケースは6割--。情報システム部門の業界団体「日本情報システム・ユーザー協会」(JUAS)が,2004年10月から2005年2月にかけて実施した調査で明らかになった。

 調査では「基本計画策定時」と「開発着手時」の各段階での予算の算出方法を聞いている(複数回答)。その結果,基本計画策定時には「ベンダーからの見積もりを基に決定する」との回答が54.9%と圧倒的に多い。「過去の類似事例を参照して決める」が42.7%,「あらかじめ決められた予算枠を基に決定する」が22.5%と続く。自社で何らかの基準を持って予算を算出する企業は「画面,帳票数をベースに,自社基準値を基に算出する」(16.6%),「概算FPをベースに,自社基準値を基に算出する」(10.7%)など少数派となった。

 要件が固まるにつれ,ベンダーに頼る傾向がより強まる。開発着手時には「ベンダーからの見積もりを基に決定する」が61.2%に増え,逆に「過去の類似事例を参照して決める」は22.0%と大幅に減る。JUASでは「自らが定量的な把握をできていない現状は問題だ。それができている企業とできていない企業とでは,プロジェクトの成功の確率に差が出ているのではないか」と見ている。

 JUASでは,1994年以来「企業IT動向調査」を毎年実施しており,今回が10回目。調査は,IT部門長あて4033社,利用部門あて4073社にアンケートを実施し,それぞれ977社(有効回答24.2%),802社(同19.7%)の回答を得た。調査項目は,IT投資の現状や人材の育成,プロジェクト・マネジメントなど多岐にわたる。予算の算出方法を調査したのは今回が初めて。

(尾崎 憲和=日経システム構築)