米BEA SystemsでJava Runtime Products Groupを担当するBob Griswold氏(Vice President,General Manager)が来日し,JavaVM「WebLogic JRockit」の最新の状況や今後の予定を説明した。JRockitはサーバー用に開発された無償のJavaVMで,CPUはIA32とIA64,OSはWindowsとLinuxをサポートしている。今後,オープンソースの開発ツール「Eclipse」との連携強化や,サポート・プラットフォームの追加などを行う。

 4月には,JRockitのモニタリング・ツール「JRA(JRockit Runtime Analyzer)」や「Memory Leak Detector」などを,Eclipseのプラグインとして提供する。これらは従来スタンドアローンのツールとして提供していた。

 JRAは,スレッド/メソッドごとのCPU使用率やヒープの状況などを表示し,アプリケーションの稼働状況を分析するツール。収集したデータはファイルに出力できる。JRockitは動的な最適化を行って処理性能を向上させる際にこれらの情報を収集しているため,JRAを利用しても処理性能上のオーバーヘッドはほとんど無いという。

 Memory Leak Detectorは,浪費しているメモリーを調査してその原因を分析するためのツール。Javaは言語仕様上メモリー・リークは起きないが,プログラミング上のミスでメモリーを浪費することがある(例えば,ハッシュ・テーブルに入れたデータを放置した場合)。このツールはガベージ・コレクションが起きてもメモリーを解放しない領域をモニタリングし,異常だと思われる場合,その領域を確保したコードを呼び出すことができる。

 4月にはAMD64やEM64Tに対応したCPUをサポート・プラットフォームとして追加する。11月にはさらにサポート・プラットフォームを増やし,Solaris/SPARC,HP-UX/IA64,AIX/PowerPC上でJRockitが利用可能になる。

 2006年中ごろには,新機能「Resource Manager」をJRockitに加える予定だ。この機能は複数のJavaVMが1台のサーバー機で稼働している状況において,JavaVM上のアプリケーション間のリソースの割り当てを動的に行って最適化するものである。さらに将来は,こうしたリソース再配分機能を,複数台のサーバー機間でも可能にする予定である。

(松山 貴之=日経システム構築)