日本オラクルは2月25日,Webアプリケーション・サーバーの新版「Oracle Application Server 10g Release 2」の出荷を開始した。主な特徴は,SOA(サービス指向アーキテクチャ)関連の機能を強化したこと。SOAはビジネス要件に応じて,システムを柔軟に変更できるアーキテクチャ。来日した米Oracle Application Server Product ManagementのSenior DirectorであるAmit Zavery氏(写真)に,同社の考えるSOAの特徴とその実現方法を聞いた。(聞き手は岡本 藍=日経システム構築)

---Oracleが提供するSOAの特徴は
 設計,開発,インテグレーション,オーケストレーション,分析,管理,セキュリティといったSOA実現のための要素を1つの製品で実現できるようにしていることだ。オーケストレーション機能であるワークフロー・エンジンとしてのBPELの部分だけ,ビジネス・プロセスをモデリングするBPMNの部分だけ,といった形での製品提供ではSOAの実現は難しい。

---Application Server 10g Release 2で提供される新機能は
 「ビジネス・アクティビティ・モニタリング」や「BPEL Process Manager」機能などがある。前者は,ワークフロー上のパフォーマンスなどをリアルタイムに追跡するものである。例えば,受注処理の中で,在庫確認からクレジット決済という処理の流れを監視し,状況に応じてフローを組み替えることができるようになる。後者はワークフローを実際に記述する際に用いる。BPELという標準を製品化するにあたり,ドラッグ&ドロップで表現できるようにしたり,性能を考慮した実装にしたり,といった工夫を施した。

---Application Server 10g Release 2によってSOA化することのメリットは
 Oracle Database 10gなどを用いて,SOAのシステム基盤をGridベースで強固にできることだ。高可用性,高パフォーマンス,高拡張性といったSOAを実現するのに不可欠な要素をOracle Database 10gなどの基盤で支援していく。「ビジネス・アクティビティ・モニタリング」という機能を用いてシステムのパフォーマンスを監視すると,ときにはシステム上の問題に遭遇することがある。その際にも,管理ツールのOracle Enterprise Managerと連携し,どのEJBの性能が遅いか,どのSQL文の処理に時間がかかっているか---などを即座に判断して対処できる。強固かつ柔軟なシステム基盤の上に,システムが構築されることで,SOAが実現しやすくなる。