日本BEAシステムズは1月20日,Webアプリケーション・サーバーの新版「BEA WebLogic Server 9.0(開発コード名:Diable)」(画面)の機能概要を発表した。「SOA(サービス指向アーキテクチャ)の基盤として,ノン・ストップで使え,かつシステムの全領域をカバーするアプリケーション・サーバーにする」(チーフ テクニカル ストラテジスト 伊藤敬氏)。そのために特に,(1)非同期機能と(2)運用管理機能の2つを強化している。出荷開始は今夏から秋。製品体系や価格帯は従来版と同じとなる予定。

 (1)非同期機能の強化で目立つのは,Javaプログラムから,Javaおよび非Javaプログラムに対して非同期にメッセージを交換するためのインタフェース「JMS(Java Message Service)」に関連する部分を強化し,さらに,「WS-ReliableMessaging」という規格を実装したこと。JMSのパフォーマンスは5~6倍向上し,メッセージの配信順序を保証する機能やフェールオーバーの機能などが搭載される。「WS-ReliableMessaging」とは,高信頼メッセージング機能に関する次世代Webサービスの規格の一つである。これにより,「ロング・トランザクションであるビジネス・プロセスをシステムで実装しやすくなる」(伊藤氏)。

 (2)の運用管理機能では,アプリケーションのバージョンアップ機能を強化したり,オブジェクト指向のスクリプト言語であるPythonのJava版「Jython」を利用できるようにしたりする。前者は「Live Update機能」と呼び,システム停止やセッションの中断なくアプリケーションのバージョンアップを可能にする。プログラムをバージョンアップするとき,既存のセッションがある場合は古いプログラムに接続し,新しいセッションからバージョンアップ後のプログラムにセッションをつなぐ。従来のホットデプロイ機能では,利用中のセッションが中断する問題が起きていた。後者のJythonは,コンフィギュレーションの変更やオンライン・モニタリングなど運用管理のためのスクリプトを生成する。

 BEA WebLogic Server 9.0はJ2EE 1.4に準拠。EJB(Enterprise JavaBeans)3.0は実装していない。また2005年は,BEA WebLogic Server 9.0の製品発表以降,開発ツールのWebLogic Workshop,ESB(Enterprise Service Bus)の新製品QuickSilver(プロジェクト名)を出荷する予定である。

(岡本 藍=日経システム構築)