ウェブメソッドは8月,Webサービスをベースにしたシステム間連携の基盤製品群「エンタープライズ・サービス・プラットフォーム(ESP) 日本語版」を出荷した。ESPはサービス指向アーキテクチャ(SOA)に基づいて,EAIツールやBPMツールなどを統合した製品である。来日した米webMethods Vice President Standards & Platform Strategies担当のAndy Astor氏(写真)に,WebサービスとSOAの展望を聞いた。(聞き手は岡本 藍=日経システム構築)

---SOAは企業システムに必要なのか
 毎月同じ業務を繰り返すだけの企業なら,SOAは必要ない。業務のコスト削減だけを考えればよい。こうした会社は,たとえシステム間の連携が必要になってもファイル転送で済むケースが多い。しかし,リアルタイムなビジネスを追求したいなら,SOAを実現しなければならない。リアルタイムのビジネスでは,ファイルを作ったり転送したりする時間を待つ余裕はない。異なるプラットフォームでもリアルタイムにデータのやりとりができるWebサービスは最も近道で確実に,SOAを始めることができる。

---日本ではまだSOAは浸透していないが
 企業のシステムにとってのこれからの10年間で,必ずSOAが中心的な役割を果たすようになる。SOAを実現するために,最も適しているのがWebサービスである。それは,Webサービスが,あらゆる種類のコンピュータ間でコミュニケーションできるようにする技術であるからだ。日本でまだ浸透していないのは一時的な問題で,ビジネス上の観点からリアルタイム性を求めるシステムはSOAの考え方を実現しなければならなくなる。

---SOAを実現するにはどのようにすればよいか
 まず企業にとって一番重要な機能を,一つのサービスに切り出すこと。これがSOAの第一歩である。そこから徐々にサービスを増やしていけばよい。ただし,ゼロから新しいものを作るのではなく,既存資産を活かしながら,Webサービスのインタフェースを準備していく。SOAもWebサービスもまだまだ新しい技術であるが,ESPのような統合ツールが足りないところを補ってくれる。ビジネス・チャンスを増やしたい企業なら,今すぐSOAを始めるべきである。

---Webサービスはまだ標準仕様が決まっていないところもあるが
 標準化の策定に,終わりはない。新しい標準が確定すれば,次の標準を求めたくなるからだ。ただし,標準が定まらないといってもWebサービスの相互運用性に関しては,Web Services Interoperability Organization(WS-I)で我々も理事会メンバーとして努力している。WS-Iは,Webサービスを普及させるために活動している。特に,標準化の解釈をまとめたWebサービス用ガイドラインや,異なるプラットフォーム間でも相互接続できるようなサンプル・アプリケーションを作成することで,Webサービス普及のための最後の1マイルを完成させている。