アイ・ティ・フロンティアは6月3日,米VMwareが開発した仮想PCソフト群「VMware」を利用したサーバー統合サービスを開始する。このサービスの開始に当たり,アイ・ティ・フロンティアは米VMwareと5月13日に販売代理店契約を交わした。国内ではNECとネットワールドに次ぎ3番目の1次代理店となる。

 アイ・ティ・フロンティアがサーバー統合で主に利用するのは,VMwareに含まれるサーバー仮想化ソフト「VMware ESX Server」である。同社のSIサービスに利用するほか,パートナ企業へのライセンス提供も行う。ライセンス提供する場合のVMware ESX Serverの価格は,2CPUで60万円,年間サポートが17万円。今後3年間の売り上げ目標は,VMware関連事業全体で50億円。

 VMware ESX Serverは,1台の物理サーバー上に複数の仮想サーバーを実現するソフト。DOS/Vアーキテクチャのサーバー機に対応する。特徴は,(1)仮想サーバーを実現する専用OSであることと,(2)CPUなどのリソースを動的に複数の仮想サーバーに割り当てられること。

 (1)専用OSの意味は,WindowsなどのサーバーOSの上で稼働するアプリケーションではないということだ。VMware ESX Serverが実現する仮想サーバー上にサーバーOSをインストールし,サーバーOSはVMware ESX Serverを経由してCPUやメモリー,I/Oなどの物理リソースを直接利用する。

 (2)CPUなどのリソースを個々の仮想サーバーで共有し,リソース・パワーを動的に割り振ることが可能である。5台の物理サーバー機でサーバー・ファームを組み,この上で10台の仮想サーバー機を稼働させるといったことが可能で,その場合,リソースの割り振り方を管理者が決める必要がない。

 サーバー向けの仮想化ソフトには,米Microsoftが2004年夏に出荷を予定している「Virtual PC」がある。だがVirtual PCは仮想化ソフトの専用OSではなく,Windows Server OS上で稼働するアプリケーションである。サーバーOSの上でVirtual PCが稼働し,さらにその上で仮想サーバーを実現する仕組み。そのためVMware ESX Serverに比べ,性能のオーバーヘッドが大きいほか,複数サーバー機でサーバー・ファームを作れないなどの欠点がある。ちなみにVMware ESX Serverの下位製品に当たる「VMware GSX Server」はVirtual PCと同じ仕組みである。

 サーバー統合を実現するには,論理パーティショニング機能を持ったサーバー機を利用する方法がある。米VMwareのJim Lenoxアジア・パシフィック部長は「(サーバー機の)論理パーティショニング機能ではCPUなどのリソースをあらかじめ個々のパーティションに固定的に割り振っておかなければならない」と指摘する。論理パーティショニング機能よりも仮想化ソフトの方が柔軟性に優れているとしている。すでに稼働しているサーバー機をVMwareのサーバー機群に移行して仮想化すれば,運用管理が楽になるという。

(日川 佳三=日経システム構築)