画面1●Sun Java Desktop System

 サン・マイクロシステムズは2004年5月18日,Webブラウザやオフィス・ソフトなどをオールインワンで搭載したデスクトップ環境「Sun Java Desktop System(以下,JDS)」を発表した(画面1)。寡占状態にあるデスクトップ環境に「新たな選択肢を追加できた」(常務取締役 営業統括本部長 末次朝彦氏)と意欲的だ。将来的にはOEM提供やコンシューマ向けパッケージ販売を予定しているものの,当面は企業向け販売からスタートする。価格形態は2つあり,(1)利用する従業員1人あたり5500円/年(ただし,全従業員の購入が前提)か,(2)インストールするパソコン1台あたり1万1000円/年(いずれも税別)。JDSの販売目標は3万ライセンス。出荷は6月2日。


 JDSは,OSとその上で稼働する複数のソフトからなる。OSはLinuxOSの「SuSE Linux Desktop 1.0 Variant」。搭載しているソフトは,GUIインタフェースを提供する「GNOME 2.2」,Webブラウザ「Mozilla 1.4 browser」,メーラー「Ximian Evolution」,ワープロ/表計算/プレゼンテーション用ソフトを同こんしたオフィス・スイート「StarSuite 7」,Java開発環境「Java 2 Platform Standard Edition 1.4」,Java統合開発環境の「NetBeans IDE 3.6」と「Sun Java Studio Standard」のテクノロジー・プレビュー版----など。オープンソース・ソフトウエアが中心になる。日本語入力エンジン「ATOK X for Linux」と日本語フォント「リコーフォント2書体(ゴシック,明朝)」を備える。


 JDSは標準で管理機能を備える。具体的には,(1)各パソコンのOSとソフトウエアの資産管理やバージョン管理,パッチやモジュールの配布機能を備える「Sun Control Station 2.1」,(2)各パソコンの構成管理をポリシー・ベースで制御する「Java Desktop System Configuration Manager」,(3)各パソコンをリモート操作できる「Remote Desktop Takeover」----の3機能がある。


 サン・マイクロシステムズはJDSの強みを,4月に米Microsoftと技術提携したことにより「Microsoftとこれほど親密にインタフェースを取れる企業はほかにない」(末次氏)と主張する。一方で,「どこかのOSと違ってLinuxはオープンソースであるためセキュリティに強い。(PC500台を5年間運用した場合)自社調査によれば約1億6000万円削減できる」(同氏)と説明する。


 JDSの推奨システム構成は,CPUがPentiumIII 600MHz以上,ハードディスク容量が4Gバイト以上,メモリー容量が256Mバイト以上,ディスプレイ解像度が1024×768dpi以上。なお発表会では東京フォレックス・フィナンシャルが5月28日から販売を予定しているJDS搭載パソコン「LINASIS」シリーズを展示していた。同製品の価格はオープン。

(井上 英明=日経システム構築)