イーエムシー ジャパンは5月11日,ATAディスクを搭載したライブラリ装置「EMC CLARiX Disk Library(DL) 300/700」2製品を出荷開始した。ディスクによるバックアップを推し進めるのがねらい。価格は,320GバイトのATAディスクを15本搭載したCLARiX DL300が2000万円から。

 特徴は,搭載するATAディスクをテープ・ライブラリ装置のように使用できること。ATAディスクをテープ・ライブラリに見せるようなエミュレーション・モジュールを備える。エミュレーション・モジュールがSCSIコマンドを発行し,バックアップ・ソフトに対してATAディスクをテープとして認識させる。そのため,これまでテープによるバックアップを行っていた場合,既存のバックアップ・ソフトや手順などを変更する必要がない。また,テープ・バックアップの特徴であった圧縮機能も使用でき,最大で3分の1に圧縮可能となる。一定期間経過後などに遠隔地へ保管するために,ディスクからテープ装置へ自動的に書き出しを行う自動アーカイブ・プロセスを備える。

 ディスクによるバックアップはリストア時間を短縮するのに役立つが,日本では導入が進んでいない。テープによるバックアップは,本来の目的であるリストアが即座にできないものの,遠隔地に持ち運べるというメリットがあるためだ。また,すでに運用中のテープ・ライブラリ装置からディスク装置へバックアップ・メディアを変えるには,バックアップ・ソフトのバージョンアップやオプションの購入などが必要となっていた。しかし,「テープのように,何かあったときに即座にリストアできないのはバックアップとは呼べない」(マーケティング本部 プログラム・マネージメント部 プログラム・マネージャ 雨堤政昭氏)。今回の製品は,こうした問題点を解消し,ディスクへのバックアップを推進する位置付けの製品である。

 「テープ・ライブラリと比較すると,メガバイト当たりの単価はまだ30%ほど高い。しかし,リストアの高速化とテープ・ライブラリを数多く抱える必要がなくなることなどのメリットを考慮すれば,コスト差の問題は解消できる」(雨堤氏)。

(岡本 藍=日経システム構築)