パワードコムとフュージョン・コミュニケーションズは3月25日,両社の固定電話事業の統合に関して最終合意したと発表した。統合期日は2004年7月1日。新生フュージョン・コミュニケーションズにパワードコムの電話事業を統合し,パワードコムから資本と人材を供給する。

 統合の狙いは,NTTによるアクセス・チャージの値上がりに影響を受ける「中継電話事業」から,アクセス・チャージの影響を受けない「企業向けIP電話事業」へと事業主体を切り替える際に,経営資源を共有して効率化を図ることである。

 新生フュージョン・コミュニケーションズの資本金は105億7500万円で,出資比率はパワードコムが54.27%,現筆頭株主である日商エレクトロニクスは21.62%で第2の株主になる。現フュージョン・コミュニケーションズの従業員168人に加え,パワードコムの従業員約150人が新生フュージョン・コミュニケーションズに出向する。

 初年度売上高は780億円で経常利益は25億円の赤字を計画。統合後の2年度の売上高は995億円で経常利益は21億円の黒字を計画する。当初は現在の収益の柱である中継電話事業の売り上げが主になるが,徐々に企業向けIP電話の収益の割合を高めていく。

 企業向けIP電話のプレイヤーの1社である新生フュージョン・コミュニケーションズの誕生によって,企業の電話料金が下がる可能性がある。事業を統合して効率を上げることで,他事業者との競争力も高まり,サービス提供単価が下がるからである。

(日川 佳三=日経システム構築)