トレンドマイクロは2月16日に,同社製品を一元管理するツール「Control Manager」の新版を発表した。Control Manager 3.0では,BlasterやSQL Slammerのように,ぜい弱性のあるPCがネットワークにつながっているだけで感染してしまう「ネットワーク型ウイルス」による被害を防ぐ機能を強化している。Control ManagerのGlobal Product Managerを担当するJohn Hermano氏(写真)に,ウイルスの動向,新製品の強化点などを聞いた。(聞き手は,吉田 晃=日経システム構築)

--昨年は,Blasterなど「ネットワーク型ウイルス」の“当たり年”だったが。
 今後も,こういったネットワーク型ウイルスは登場するだろう。問題は,これらのウイルスがシステムに大きな影響を及ぼすことだ。今回,ネットワーク型ウイルスへの感染を予防するため,「脆弱性診断サービス」を加えた。これは,Control Manager 3.0から利用する有償サービスで,ウイルス被害に遭う危険性のあるセキュリティ・ホールがPCに存在するかどうかをチェックするものだ。定期的にPCのぜい弱性をチェックすることで,ネットワーク型ウイルスによる被害を受ける可能性のあるPCを把握できる。当社製ウイルス対策ソフトが導入されていないPCをチェックできるのも特徴だ。

--そのほかにもControl Managerから利用できるサービスはあるのか。
 ウイルスが悪用する特定ポートを閉じるなどのポリシーを配信する「大規模感染予防サービス」,ウイルスによるシステム・ファイルなどの改変から復旧する「感染復旧サービス」がある。これらは従来から提供していたが,機能を強化した。

 大規模感染予防サービスでは,サービスからControl Managerへ自動配信されるポリシーを,各ウイルス対策製品に適用するかどうかを選択可能にした。危険度が低いウイルスに対応するためのポリシーは適用しないといったことが可能だ。これまでは,ポリシー適用の可否を管理者が選択できなかった。

 感染復旧サービスは,よりユーザー・フレンドリーにして管理者が使いやすいようにした。具体的には,Control Manager 3.0から,コンピュータ名やIPアドレスを指定することで容易にPCを復旧できるようにした。これまでは,エンドユーザーがPCで手動実行する必要があった。

--Control Managerを「エンタープライズ版」と「スタンダード版」の2系統に分けたが,その理由はパートナー企業が顧客企業に管理サービスを適用できるようにするためか?
 エンタープライズ版を使うと,インターネットを介してスタンダード版を管理できる。本店から支店を管理するといった用途に利用できる。管理サービスについては,当社は1996年から「eDoctor」というウイルス対策のアウトソーシング・サービスをパートナー経由で提供している。この後継としてエンタープライズ版を利用して,パートナー企業が顧客企業にウイルス対策サービスを提供できるようにする予定である。時期などの詳細は未定だ。