ボーランドは2月25日,Java開発関連の新製品を2つ発表した。1つはJava向けの統合開発環境(IDE)であるJBuilderに統合して利用する,UML設計ツールの新版「Borland Together Edition for JBuilder X Developer」で,3月26日に出荷する。もう1つは要求管理から運用までの一連の工程で利用できる統合開発環境(IDE)の新版「Borland Enterprise Studio 7 for Java」で,3月15日に出荷する。両製品ともに旧版から大幅に値下げしていることが特徴だ。

 Together Edition for JBuilder X Developerは,JBuilder X(テン)の「Developer」バージョン上でUMLのクラス図などを設計できるプラグイン製品。主にJavaサーブレットとJSPで開発する用途に向いている。米Borland Softwareが2003年に買収した米TogetherSoftが持っていた,Javaコードと同期を取ってクラス図などを自動生成する「LiveSource」機能を搭載している。「モデル図ありきの開発ではなく,ソースコードを図で理解したい場合に気軽に利用できる。既存Javaアプリケーションのリバース・エンジニアリングにも利用できるだろう」(ボーランド マーケティング部 部長 藤井等氏)。

 旧版の「Borland Together Edition for JBuilder 6.1」との違いは,ソフトウエアの稼働の仕方とその価格だ。旧版ではTogether EditionとJBuilderはそれぞれ別のソフトウエアとして稼働していたが,新版ではTogether EditionはJBuilderのプラグインとして完全に統合された。

 また価格では,旧版が60万円だったことに比べて,新版では6分の1以下の9万8000円と設定した。この低価格化に踏み切った背景を,来日中の米Borland Software バイス・プレジデント兼Javaビジネスユニット・ゼネラルマネージャーのGeorge Paolini氏は次のように説明する。

 「ボーランドのユーザーに対する調査では,実に73%のJava開発者がUML設計を実施中,もしくはその導入を検討している。だが,Web開発のチームは中/小規模が多く,高価なUML設計ツールの導入が費用対効果の面から難しかった。今回,製品価格を9万8000円と大幅に下げたことで,費用対効果でも納得できる価格になったはずだ。ほとんどすべての開発者がUML設計が可能になるとみている」----。

 もう一方のEnterprise Studio 7 for Javaは,EJBも含めたJ2EEをフルセットで開発する用途に向いている。JBuilderを土台のIDEとして,要求管理からパフォーマンス分析までを実行できることが特徴だ。Together Edition for JBuilder X DeveloperでUML図とソースコードが双方向に同期を取ることと同じように,それぞれの工程で双方向のやり取りが可能という。同梱製品は,UML設計ツールの「Borland Together」,開発ツールの「Borland JBuilder」,パフォーマンス解析ツールの「Optimizeit Enterprise Suite」,アプリケーション・サーバーの「Borland Enterprise Server」,変更管理ツールの「Borland StarTeam」----など。要求管理ツールの「Borland CaliberRM」は同梱されないが,統合して利用できる。価格は旧版のバージョン6より30万円下がり,65万円となった。

 ボーランドは同日,無償利用が可能なJavaIDE「JBuilder X Foundation」を2004年4月下旬にリリースすることも発表した。従来の無償版は商用開発が許されていなかったが,今回の新版からは商用開発が可能になる。

(井上 英明=日経システム構築)