イーエムシー ジャパンは2月10日,ストレージ製品の全シリーズで新製品を出荷する。2003年から情報の価値に応じてデータを管理する「ILM(Information Lifecycle Management,情報ライフサイクル管理)」戦略を打ち出していたが,今回,ストレージ製品を一新し,「ILMを具現化できる製品を提供する」(同社 代表取締役社長 中山隆志氏)のがねらいだ。

 今回発表した新製品は合計で10製品。(1)ハイエンド製品の「Symmetrix」が3製品,(2)ミッドレンジ製品の「CLARiX CX」が3製品,(3)NAS製品の「Celerra」が2製品,(4)Windows Storage Server 2003を搭載したストレージ製品「NetWin 200」,(5)アーカイブ・データ用の「Centera」---である。

 (1)は「Symmetrix DMX-2 1000/2000/3000」。これまで提供している「Symmetrix DMX1000/2000/3000」がそれぞれアップグレードする形になる。特徴は,新しいダイレクタを採用したことで性能が向上すること。例えば,ダイレクタ上のCPUクロック周波数は前モデルの2倍となる1GHzとした。キャッシュも2倍の1ボード当たり32Gバイトとなり,最大256Gバイトまで搭載できる。また,ディスクの回転数も1万回転から1万5000回転にあがる。ただし価格は,それぞれ現行製品より「3割程度高くなる」(マーケティング本部 プログラム・マネージメント部 プログラム・マネージャー 住谷忠亮氏)。2003年8月に出荷したSymmetrix DMX3000が約21Tバイトで3億1600万円からだった。

 (2)は「CLARiX CX300/500/700」(写真)。これまで提供している「CLARiX CX200/400/600」のラインアップを補完する製品である。それぞれ搭載キャッシュやディスク容量を2倍に増やしたほか,新たに,差分コピーを取ることができるようにした。価格は,CLARiX CX300が189万円からで,デルからも「Dell|EMC CX」として提供する。

 (3)は,「Celerra NS700G NASゲートウェイ」と「Celerra NS700 統合型NAS」の2製品。NASゲートウェイは,NASのストレージをSAN(Storage Area Network)に接続するための装置。一方の統合型NASは,NASゲートウェイに既存のNASストレージ製品を合わせたもの。(4)の「NetWin 200」は,OSにWindows Storage Server 2003を搭載し,ストレージには,CLARiX CX300かCX500を搭載するNAS装置。価格はいずれもオープン。

 (5)の「Centera」は,アーカイブ・データを保存する用途でディスクにはATAディスクを搭載している。これまでの製品では,UNIXやLinux,Windowsからしかアクセスできなかったが,新たに米IBMのz/OSからもアクセスできるようにした。また新しいモジュールを採用し,ディスク・ドライブを250Gバイトから320Gバイトに,イーサネットも100Mビット/秒から1Gビット/秒とした。価格は,3.78Tバイトで2000万円から。

(岡本 藍=日経システム構築)