日本レジストリサービス(JPRS)は1月19日,日本語JPドメイン名を利用しやすくするため新サービス「日本語JPナビ(仮称)」の試案を公開した。日本語JPドメイン名に未対応のWebブラウザが,日本語JPドメインにアクセスした際,自動的に,必要なプラグイン・ソフトを提供するサーバーに誘導する。2月6日までに意見や要望を募り,2月中旬にはそれらへの回答を公開。その後,実施の是非や時期を判断するという。新サービスにより,なかなか利用が進まない日本語JPドメイン名に弾みを付けるねらいがある。

 日本語JPドメイン名とは,「http://会社名.jp/」や「mailto:info@会社名.jp」のように,URLやメール・アドレスに日本語を使えるようにしたドメイン名のこと。ユーザーにとっては覚えやすく,分かりやすいと考えられ,2000年ごろから普及が期待されていた。

 ところが,日本語JPドメイン名を含む国際化ドメイン名(IDN)の技術仕様の標準化は,2003年3月とかなり遅れた。対応したWebブラウザも,なかなか登場しなかった。既存のWebブラウザを日本語JPドメイン名に対応させるプラグイン・ソフトなども開発されたが,期待されたほどには利用されていないのが現実だ。米国では,ドメイン名登録大手のNetwork Solutionsが,IDNに基づくドメイン名の登録事業の中止を発表する事態に至っている。

 日本語JPドメイン名を盛り上げようとJPRSが考案したのが,日本語JPナビである。日本語JPドメインに対応していないWebブラウザで日本語JPドメイン名にアクセスしようとすると,プラグイン・ソフトの入手先リストなどが自動的に表示される。コンピュータに詳しくないユーザーでも,簡単にプラグイン・ソフトを組み込んで,日本語JPドメイン名を利用できるようになる。日本語JPドメインを利用するための敷居が下がる効果が期待できる。

 日本語JPドメイン名に未対応のWebブラウザのみをサービス対象にする必要があるため,DNS検索時のエンコード方式の違いで対応済みか否かを判断する。例えば,日本語JPドメイン名に対応していないInternet Explorer 6の場合,日本語JPドメイン名を「UTF-8」という方式でエンコードし,DNSを検索する。これに対して,日本語JPドメイン名に対応しているWebブラウザであれば,日本語JPドメイン名を「Punycode」と呼ばれるアルゴリズムでコード変換し,DNSを検索する。この違いから,日本語JPドメインに対応させるべきかを判断し,未対応のときのみ,DNSの検索結果として日本語JPナビのIPアドレスを返す。

 日本語JPナビは,JPRSに登録済みの日本語JPドメイン名に対してしか機能しない。未登録のドメイン名の名前解決要求には,「そのドメイン名は存在しない」と応答し,サービスには誘導しない。未登録の日本語JPドメイン名の名前解決もサービスに誘導し,ユーザーのドメイン名の検索を支援するという方法もあったが,「ドメイン名が実在するか否か」という基準で迷惑メールを遮断しているような企業のシステムに悪影響を及ぼすおそれがあり,採用を見送った。また,ドメイン名の登録者が日本語JPナビの利用を申し込まない限り,このサービスの適用対象には含まれない。

(実森 仁志=日経システム構築)