日本IBMは11月4日,サーバー機の自動追加を行うための運用管理ツールの新製品「IBM Tivoli Intelligent ThinkDynamic Orchestrator V1.1」を出荷した。特徴は,事前にポリシーを設定しておけば人手を介することなく,サーバーなどを自動管理できるようにしたこと。

 同製品は2つのコンポーネントに分かれる。(1)ポリシーを設定したり,リソースを監視したりする「IBM Tivoli Intelligent ThinkDynamic Orchestrator(以下Orchestrator)」と,(2)サーバー機の自動追加を行う「IBM Tivoli Provisioning Manager(以下Provisioning Manager)」である。後者は単体としても使用できる。

 具体的な動作としては,例えばシステム負荷がピークだとOrchestratorが判断したら,Provisioning Managerは新たなサーバー機を加えていく。各業務システムには必要最低限のサーバー機を割り当てるが,いつでも増設できるように何もインストールしていない予備のサーバー群を準備しておく。Orchestratorを搭載する管理サーバーは,各業務システムのリソース使用状況を監視するだけでなく,監視する全アプリケーションのセットアップ関連のファイルやソースコードをデータベースとして格納しておく。サーバー機を追加する際,あらかじめ格納したデータを用いて,インストール作業を自動的に行う。

 ただし,Orchestratorに設定するポリシーは,各トランザクションの応答時間や各サーバーのCPUやメモリーなどのリソース使用率。設定した値がしきい値を超えた場合のボトルネックとなる原因分析はできない。そのため,アプリケーション・サーバーを追加すればよいのか,データベース・サーバーを追加すればよいのかなどは,個別に判断しなければならない。Tivoliの別製品であるモニタリング・ツールを利用した場合は,モニタリング・ツールからの情報を基に,Provisioning Managerへの指示を自動化させることができる。

 価格は,Orchestrator V1.1が管理対象サーバーの1CPU当たり50万5600円から。Provisioning Manager V1.1が34万6900円から。管理対象となるアプリケーションに制限はないが,従量課金制ではない製品の場合,あらかじめピーク時分のライセンス料を支払わなければならない。

(岡本 藍=日経システム構築)