Flash MX 2004の開発画面
 マクロメディアは10月30日,Flashの新版「Flash MX 2004」の詳細を発表した。FlashはこれまでWebデザイナ用ツールとして位置付けられてきたが,MX 2004では業務アプリケーションを作成するための開発者向けの機能強化を多く盛り込んだ。

 ダウンロード販売を11月18日から開始。その後,パッケージ版を12月5日に出荷開始する。同日発売されるWebアプリケーション開発のスイート製品である「Macromedia Studio MX 2004」を構成する1製品として提供。価格はFlash MX 2004が5万8000円,上位版のFlash MX Professional 2004が8万4000円である。

 Flash MX 2004でアプリケーション開発者に役立つ主な機能としては3点ある。

 1点目は,業務ロジックや画面遷移を記述するスクリプト言語ActionScript(ECMAScript互換)を1.0から2.0にバージョン・アップしたこと。これにより,オブジェクト指向プラグラミングの機能が強化され,開発者が自らクラスを定義できるようになった。

 2点目は,サードパーティ製プラグインによる拡張を可能にする拡張対応アーキテクチャを採用したこと。チャートやグラフの作成など拡張機能に,Flashアプリケーションから直接アクセスできる。

 3点目は,一度記述したスクリプトを保存しておき,マクロとして繰り返し使えるヒストリカルパネルを用意したこと。ほかにも,スペルチェッカーやプラグイン自動検知など開発作業を効率化する機能を強化した。これらのほか,Webデザイナ向けの機能強化もある。

 上位版のMX Professional 2004ではこれらに加え,チーム開発やノンプログラミングを支援する機能が付加される。Visual Basicに比較的近い使い勝手になった。

 最も大きな変更はフォーム・ベースでの開発スタイルを採用したこと。これにより,業務システム開発者にはなじみにくかったFlash特有の概念“タイムライン”を使わずにアプリケーションを開発できるようになった。

 チーム開発を容易にする機能も追加された。例えば,VBと同様のプロジェクト・ファイルによるファイル管理を実装されている。1つのアプリケーションに関連する複数のファイル(.fla,.asなど)をグループにまとめ,ファイルのチェックイン/チェックアウトなどを行えるようになった。

 また,データ・ソースへのアクセスを簡素化した。これまで別売していた「Macromedia Flash MX Data Connection Kit」を,[データへの接続と更新]というコンポーネントの1つとして標準機能に取り込み,RDBやWebサービス,XMLなどデータソースとの連携をコンポーネント経由で実現できるようになった。

 9月10日には,MX 2004で作成したFlashファイル(SWFファイル)の実行環境としてFlash Playerもバージョン・アップした。ActionScriptの処理速度などが改善されたほか,CSS(カスケーディング・スタイル・シート)のサポートやSOAPクライアント機能,セキュリティ・ポリシーのカスタマイズが新たに実装されている。

 Macromedia Studio MX 2004には,ほかにWebサイト作成ツール「Dreamweaver MX 2004」,グラフィックス・デザイン・ツール「Fireworks MX 2004」,レイアウト作成ツール「Freehand MX 2004」,サーバー側のアプリケーション・サーバー「ColdFusion MX 6.1デベロッパーバージョン(Windows版)」が含まれる。Dreamweaver MX 2004では,CSSが新たにサポートされたほか,自動ブラウザ互換性チェックなどの機能が追加された。

(尾崎 憲和=日経システム構築)