サンの代表取締役社長 ダン・ミラー氏

 サン・マイクロシステムズは10月21日,企業システムを構築するためのソフト群をパッケージ化した「Java Enterprise System(JES)」を発表した。JESに含む15種類のソフトはすべて,従来から提供していたもの。今回,価格体系と提供形態を一新した。同社が顧客にヒアリングした結果,「システム運用に対する複雑さの排除やコスト削減を企業のCIOは求めている」(同社 代表取締役社長 ダン・ミラー氏)との分析から,新たな方針を採った。JESの出荷は,2003年12月中旬である。

 価格体系は,シンプルなものにした。通常はソフトごとにサーバーのCPU数やユーザー数を基準とするが,JESでは企業の従業員数だけを基準にする。従業員1人当たり年間1万1000円である。実際のユーザー数は問わず,電子商取引など企業の顧客がユーザーとなる場合でも,15種類のソフトをいくつ使っても,企業が支払う価格は同じである。ただし,親会社と子会社のような関係で,子会社が顧客となってしまうような場合は従業員数の特定が難しいため,「営業と顧客の話し合いで決めることになる」(同社 プロダクト・マーケティング本部 本部長 山本恭典氏)。

 製品の提供形態は,パッケージ化したソフト群のバージョンでサンが動作を検証し,提供する。かつ,四半期ごとに一斉に新たなバージョンを提供していく。これまでのように,各製品のバージョンアップごとに,他ソフトとの組み合わせにおける動作検証で苦労しなくて済むという。また,企業ポータル・システムなどシステムのタイプや規模ごとにリファレンス・アーキテクチャを作り,それをサンが動作検証して顧客に提示する。ソフト群には,ユーザー管理や認証を行うJava System Directory Server 5.2,Webアプリケーション・サーバーApplication Server 7,電子メール・ソフトMessaging Server 6.0,ポータル構築用ソフトPotal Server 6.2,クラスタリング・ソフトSun Cluster 3.1などがある。

 JESの動作環境はSolaris8およびSolaris9。Solaris9は,x86プラットフォーム版も用意する。Linux版を今後提供する予定である。JESには,保守サポートやトレーニングも含んでいる。保守サポートは,電話など午前9時から午後5時半まで受け付ける。24時間365日対応のプレミアム・サポートを受ける場合は,価格が従業員当たり年間1万2000円となる。

(森側真一=日経システム構築)