KDDIは9月30日,グループウエアを携帯電話で利用できるサービス「ケータイオフィス」を発表した。auの携帯電話端末に搭載されているアプリケーション・プラットフォームBREWを利用し,ユーザー企業内の既存のグループウエアと同期することで,メールの送受信やスケジュールの確認を行うことができる。特徴は,ファイアウォールの設定を変更することなく利用できること。11月25日からサービスを開始する。

 これまで外部からグループウエアへのアクセスは,常にネットワーク接続されていなければ利用できなかった。また外部からのアクセスを許可するために,RASなどを設置したり,ファイアウォールの設定変更をしたりする必要があった。ケータイオフィスでは,これらの問題を解決していく。まず,ネットワーク接続は,携帯電話でのメール利用のように,接続した時に新規メールを一括でダウンロードする。ケータイオフィスのサービスはASPとして提供する。これにより,イントラネット内の1つのサーバーにグループウエアとの中継用アプリケーションをインストールするだけで利用できる。

 ユーザーは携帯電話でメールを使うのとほぼ同じ使い勝手で,外部からグループウエアを利用できるようになる。auの携帯電話にダウンロードした専用アプリケーションから,KDDIの運用するケータイオフィスのサーバーに接続する。その際に,携帯電話の契約者番号(subscriber ID)を利用する。サーバー側では契約者番号に基づき,どの企業のどのグループウエアにログインできるかを判断し,ログインする。イントラネットからサーバーには常にセッションが張られており,その際にはポート番号443(SSL)を利用する。

 ただし,ケータイオフィスには課題もある。着信通知などの機能は備わっていないほか,メールなどの文字数制限もあったり,添付ファイルが読めなかったりする。また,メールをダウンロードする際,基本的には新規50件を自動的に一括ダウンロードするため,ヘッダーなどから読みたいメールだけを事前に選ぶことはできない。ただしこういった問題点については,KDDIが企業からの要望に応じて別途,個別にカスタマイズを加える。

 価格は標準サービスで,1契約あたり契約料が1万円と月額基本料が1台あたり500円。対象となるグループウエアは提供開始時には,米IBMのLotus Notes/Domino R6のみ。Lotus Notes/Domino R5や米MicrosoftのExchange Server5.5/2000,サイボウズのグループウエアは順次提供する予定。

(岡本 藍=日経システム構築)