![]() ICタグを付けた商品の例 |
NTTデータ,丸紅,マルエツの3社は9月24日から約2カ月間,ICタグ(RFID)を利用した実証実験を開始する。食品がメーカーから出荷され,卸を経て小売店の店頭に並び,消費者の手に渡るまでを,ICタグを使ってトレース。物流の効率化や食品のトレーサビリティといった点で,ICタグの有効性や実用化に向けての課題を検証するのが目的だ。
これまでICタグの実験は特定の店舗内に閉じた形で行うことが多かったが,今回は初めて生産者やメーカーと卸,小売店が協力して流通業全体で実験を行う。実験に参加する企業は3社のほか,食品メーカー17社,卸7社など合計34社。
今回の実験では,マルエツ潮見店(東京都江東区)で扱う生鮮食品や加工食品など約90種類の商品にICタグを付ける。商品としては,例えばキャベツやみかん,牛乳,ヨーグルトなどを予定している。タグは取り外しができるように,商品の外側に目立つ形で取り付ける。このICタグには商品の個別IDだけを記録し,賞味期限や出荷情報などは情報センターで一括管理する。
生産者およびメーカーは商品を出荷する際にICタグを取り付け,リーダー/ライター(米FEIG製)でID情報を情報センターに送信する。商品ごとの共通情報はあらかじめデータベースに登録しておき,出荷状況を別途,情報センターにメールかFAXで送信する。物流拠点では,商品の入庫状況や流通履歴を管理する。消費者がマルエツ店舗内の専用端末の台に商品を置くと,情報センターから商品の詳細な情報が送られ端末の画面に表示される。情報センターと各拠点の接続には,NTT東日本の閉域網サービス(フレッツ・グループ・アクセス)を用いる。
マルエツは今回の実験で100人の消費者モニターを募集する。消費者モニターには,自分の嗜好などを情報センターに登録してもらう。ただし,プライバシーの問題に配慮し,登録するのは嗜好のほか年代や性別など個人が特定されない情報にとどめる。
使用するICタグはのべ5万枚で,周波数に13.56MHzを使うもの(至近距離での認識が可能)と950MHzの使うもの(約7mまででの認識が可能)の2種類を予定する。ただし,950MHzのICタグはまだ免許取得の申請を検討中で,実際の使用は11月以降になる見込み。ICタグのメーカーは,独Infineon Technologiesの「my-d」とオランダPhilips Semiconductorの「I-Code SLI」。
ICタグはリーダー/ライターと垂直にすると読み取ることはできず,必ず水平にしなければならないなど,使い方に工夫が必要。また,ICタグのコストは1枚当たり数十円から100円程度かかるなどの課題もある。今回の実験ではこれらの課題の解決策も模索する。マルエツは実験の結果を受け,2004年中には実用化したい考え。