米SCO Groupが「LinuxはSCOの持つUNIXの知的所有権を侵害している」として米IBMを訴え,ユーザーに利用料を請求しているが,この問題が日本の大手サーバー・メーカー,NEC,日立製作所,富士通のLinux事業へほとんど影響していないことが日経システム構築の調査でわかった。

 日経システム構築では,SCOの「Linux知的所有権問題」がLinux事業に影響をあたえているかどうか,日本の主要なサーバー・メーカーであるNEC,日立製作所,富士通に文書で質問した。SCOのCEO Darl McBride氏は,2003年6月に来日した際,3社を訪問している。しかし「自社の立場についての説明があっただけで,具体的な要求はなかった。9月上旬の現在に至るまで,文書での要求もない」(富士通 広報)という。日立製作所,NECも同様である。

 Linux事業展開やユーザーの導入意欲などへの影響は,3社とも「ほとんどない」としている。

 何らかの対策を実施しているかどうかについては,富士通が「問い合わせに答えられるようQ&A集を作成した」という程度である。NECは「事実関係が明確になった段階で,必要があれば対策を講じる」,日立製作所は「ディストリビュータなど,業界の今後の対応状況を見て判断する」という方針で,少なくとも現時点では,具体的な対応の必要性は感じていない。

表●大手サーバー・メーカーの対応

企業名影響の有無何らかの対応を行なっているか
NECほとんど影響はない特に対策はとっていない。事実関係が明確になった段階で必要があれば対策を講じる
日立製作所ほとんど影響はない特に対策はとっていない。ディストリビュータなど,業界の今後の対応状況を見て判断する方針
富士通ほとんど影響はない社内・社外からの問い合わせに明確に答えられるようにQ&A集を作成した

 ユーザー企業への影響については,日経マーケット・アクセスが2003年9月1日に調査結果を公表しているが,回答した313社のうち,「Linuxを使ったシステム構築に,今までよりも慎重に取り組みたい」という企業は7.3%に過ぎなかった。「Linuxに対する取り組みに大きな影響はない」が17.3%,「Linuxの利用には前向きであり,今後も利用を拡大させたい」が20.4%に上っている。SCOの問題は,メーカーにもユーザーにも実際のLinux導入にほとんど影響を与えていないと言える。

(高橋 信頼=日経システム構築)