日本IBMは,旧日本ラショナルソフトウェアのソフトウエア開発製品群「IBM Rational software」のうち30の新製品を8月27日に発表した。特徴は,J2EEや.NETの統合開発環境(IDE)1つで,UMLのモデリングからテストまでの開発を行えること。いずれの製品も9月24日に出荷予定。

 米IBMが,2003年2月に米Rational Softwareの買収を完了したことで,日本でも両社の統合作業が行われており,8月1日に正式に日本IBM内に,ラショナル事業部が発足した。今回,初のIBMブランドでのラショナル製品となる。発表した30製品の製品群でソフトウエア開発の各作業工程をカバーしていく。IDEの中に,「IBM Rational software」の各製品を組み込み,IDEの画面上から設計・開発・テストまでを可能にする。従来,IDEだけでは十分なUMLのモデリングなどができなかった。新製品はプラグインなどで組み込んだり,各IDE製品にあらかじめ搭載することで,UMLモデリングをした後,すぐにソースコードを自動生成でき,開発生産性を上げることができる。

 UML1.4に対応したUMLモデリング・ツール「IBM Rational XDE Developer v2003」は,日本IBMとの統合によって初めて日本語化された。今までは英語版のみだった。同製品を,J2EEのIDE「IBM WebSphere Studio Application Developer 5.0」に組み込むことで,UMLのモデリングができ,クラス図とソースコードの同期を取りながら開発できる。ほかにも,オープンソースの「Eclipse2.0」,富士通「Interstage Apworks」,.NETのIDEである米Microsoft「Microsoft Visual Studio .NET 2003」にも組み込め,それぞれのIDEの1機能として利用できる。また,新たにテスト・ツール「IBM Rational XDE Tester v2003」を提供する。Javaのテスト・スクリプトを自動生成する。このツールを使えば,機能テストと回帰テストもIDEの画面から行えるようになる。

 価格は,「同XDE Developer」が1ユーザー50万4000円から,「同XDE Tester」が1ユーザー51万5000円から(.NET Edition,Java Platform Editionとも)。そのほか,開発方法論「IBM RUP(Rational Unified Process) v2003」,ソフトウエア構成管理ツール「同ClearCase」「同Clear Quest」,単体で利用するUMLモデリング・ツール「同Rose」などがある。なお,携帯電話などへの組み込みソフトウエア開発向けツール「同Rose RealTime」など一部の製品でのみUML2.0に対応する。

(岡本 藍=日経システム構築)