オープンソース・ソフトウエアで品質やサポートの問題はほとんど発生していない。ただし,法律的側面などの課題は慎重に検討すべき--経済産業省が2003年8月15日に公表した「オープンソースソフトウエアの利用状況調査/導入検討ガイドライン」で,オープンソースの利用状況と課題が明らかになった。

 同文書は,2002年年11月から約半年にわたり利用状況,導入検討ガイドライン及び法的課題の整理などについて検討を行った結果をまとめたもの。同省のホームページからダウンロードできる。

 前半では,ユーザーの状況や,オープンソースを利用したビジネスについて報告している。ユーザーの状況としては,オープンソース・ソフトウエアを実際に採用した約30社の事例調査を行ったが,品質上の問題,サポートの問題などはほとんど発生していないことが確認されたという。

 ビジネスについては,オープンソース・ソフトウエアそのものの販売をビジネスとすることは困難だが,サービスと組み合わせた多様なビジネス・モデルが出現しているとしている。

 後半では導入検討ガイドラインとして,利用者が検討すべき課題をまとめている。オープンソース・ソフトウエアでは一般にライセンスなど初期導入コストは低いが,サポート費用など保守・運用コストまで含めて検討すべき,など,オープンソース・ソフトウエアを導入する際に確認すべきポイントを挙げている。

 特に興味深いのが法律的課題についての報告である。「我が国で始めて複数の専門家による集中的な討議を行い」(経済産業省),「オープンソースと商用ソフトウエアが連動するソフトウエアを開発した場合,どこまでがオープンソース・ソフトウエアになるのか境界が判然としない」,「開発業者に商用ソフトウエアをオープンソースと偽られ混入され著作権侵害を起こしても,ユーザーには発見しにくい」などの課題をまとめている。

(高橋 信頼=日経システム構築)