WS-IのJapan SIG(Special Interest Group)は,Webサービスの相互接続に向けたガイドライン「WS-I Basic Profile 1.0」を日本語化し,一般公開に向けて作業を進めている。日本語訳の作業はほぼ終え,WS-Iの承認を得る段階である。WS-Iは,Webサービスにおける相互接続性の向上を目的とした業界団体。Basic Profile 1.0は,WS-Iが設立以来,策定作業を進めてきたもので,8月12日に一般公開したばかりである。

 Basic Profile 1.0は,ミドルウエア・レベルだけでなく,アプリケーション・レベルでもWebサービスを相互接続可能にするためのガイドラインである。Webサービスを実現するための規約であるSOAPやWSDLは,W3C(World Wide Webコンソーシアム)で決められているが,「実際には,すぐにつながるケースだけでなく,結構苦労する場合もある」(Japan SIGに参加しているインフォテリアの代表取締役社長 平野洋一郎氏)といったことから,実装上のガイドラインが必要になる。

 SOAPやWSDLの仕様すべてに対応するのが難しいため,異なるWebサービス対応製品において,受け手側Webサービスが送信側のメッセージを解釈できないケースが多い。Basic Profile 1.0では,大きく分けてSOAP関連とWSDL関連の仕様がある。SOAP関連では例えば,SOAPフォルトの構文について規定したもの,SOAPの文字エンコーディングを規定したもの,などが挙げられる。

 つまり,Basic ProfileはWebサービス対応製品の開発者だけでなく,アプリケーション開発者も理解しておく必要がある。文字エンコーディングは,UTF-8とUTF-16のサポートは義務付けているが,シフトJISは入っていない。アプリケーションがシフトJISを使えば,Basic Profileに準拠のWebサービスとつながらない可能性が高い。APサーバーなどミドルウエアがBasic Profile準拠だとしても,アプリケーションで準拠しなければ接続できない場合がある。

 Japan SIGは富士通が世話役となり,15社が参加している。今後,WS-Iが提供するテスト・ツールやサンプル・アプリケーションの日本語対応も実施する。これからWebサービスが実際に利用されていく段階では,様々な問題が出てくることが予想されるが,こうした地道な活動で解決されていくだろう。

(森側 真一=日経システム構築)