ソフトエイジェンシーは2003年6月11日,オープンソースのデータベースMySQL専用のクラスタリング・ソフト「Emic Application Cluster for MySQL version 2.0(以下,EAC)」を発売すると発表した。MySQL用で負荷分散が可能なクラスタリング・ソフトとしては日本で初めての出荷となる。2003年6月26日に出荷する。ソフトエイジェンシーはMySQLの日本での総代理店。

 MySQLは,複数のDBサーバー間でデータを複製するレプリケーション機能を備えるが,クラスタリング機能はない。EACは複数台のDBサーバーを仮想的に1つのDBサーバーとして動作させることができ,負荷分散と可用性の向上を実現できる。

 負荷分散は,EACの「EAC advanced net Filter」モジュールが担当。導入手順は,まずクラスタ構成にしたい複数台のDBサーバーにEACをインストール。続いて,それらのサーバーに同一のIPアドレスを振って仮想的に1台に見立てる。EAC advanced net Filterが,負荷の低いサーバーを自動的に判断して,クライアントからのからのリクエストを割り振る。

 複数DBのデータの同期を取って整合性を保つ役目は「EAC sync Layer」モジュールが担当する。EAC導入の際は,データ同期用にDBサーバー間に専用のイーサネットのネットワークを設ける。EAC sync Layerは,そのネットワークを利用して,更新されたあるDBの内容をほかのDBにも反映させる。

 あるサーバーに障害が発生した場合,他のサーバーが処理を引き継ぐフェール・オーバーが可能。ソフトエイジェンシーによれば,EACによるDBサーバーのフェール・オーバーにかかる時間は,約1秒。

 EACは米Emic Networksが開発。version 1.0は日本で出荷されていなかった。今回出荷された新版では,GUI画面で各種設定ができることが特徴。MySQL 3.23以上で使用できる。MySQLのデータ・ストア・エンジンとしてInnoDBに対応しており,トランザクション機能も使用できる。

 価格は,1CPUのサーバーにインストールする場合は21万7000円。2CPUの場合は43万4000円,4CPUの場合は86万8000円。なお,DBサーバーには,500MHz以上のインテル互換CPUと256Mバイト以上のメモリー搭載が必須となる。稼働OSは,Red Hat Linux 7.x,SuSE Linux 7.xなどKernel 2.4以上のLinux。

(井上 英明=日経システム構築)