テクマトリックスは2003年6月3日,米AventailのSSL-VPN装置「Aventail EX-1500」のオプション製品「Aventail OnDemand Version2.1」を提供開始すると発表した。SSL-VPN装置は,WebブラウザのSSL(Secure Sockets Layer)機能を使って社内サーバーへのリモート・アクセスを実現する製品。OnDemandの新版では,マイクロソフトのPocket PCを搭載したPDAから社内サーバーにアクセスするための機能などを強化した。価格は同時50ユーザーの場合で,EX-1500が396万円,OnDemandが99万円。

 EX-1500では,アプリケーションの種類や用途に応じて3つのアクセス形態を用意している。(1)WebブラウザのSSL機能を利用してアクセス(Webアプリケーションの利用とファイル共有),(2)Javaアプレット経由でアクセス(主にシングル・ポートで動作するTCPベースのアプリケーションの利用),(3)専用クライアントを使ってアクセス(基本的にアプリケーションの種類に制限なし)---である。今回Pocket PCからのアクセスを可能にしたのは(2)の部分。ただし,「Pocket IEがJavaVMを搭載していないため,ダウンロードする形態では利用できない」(テクマトリックス 技術本部 ネットワーク技術部 セキュリティ グループ グループリーダー 山越雅人氏)。上記Javaアプレットと同等の機能を持つJavaのモジュールをあらかじめPDAにインストールしておく必要がある。モジュールの大きさは,JavaVMの種類にもよるが,約200Kバイトから400Kバイト。PDAによってはデフォルトでJavaVMを搭載していない製品が多く,別途JavaVMのインストールも必要になる。Pocket PCで動作確認済みのJavaVMは現時点で,「CrEme(イスラエルNSIcom製)」と「Jeode(スイスesmertec製)」の2つ。

 OnDemand Version2.1では使い勝手も良くした。Version2.0では,サーバーへの通信をJavaアプレット経由にするため,ユーザー自身がクライアント・アプリケーションの設定を変更する必要があった。Version2.1では,hostsファイルを一時的に書き換えることで,クライアント側の設定変更を不要にした。OSによってhostsファイルの格納場所が異なるが,現時点ではWindows98/Me/NT/2000/XPでこの機能を利用できる。このほか,Outlook/Exchangeクライアントを利用できるようにした。Outlook/Exchangeクライアントでは複数のポートを利用するため,Version2.0では利用できなかった。

 今後,携帯電話からもアクセスできるようにする。ただ,「SSL-VPN装置はSSLのセッションの維持にCookieを使う。携帯電話がCookieに対応していないので別の方法を実装する必要がある」(Aventail,Integration Services, DirectorのRichard Ting氏)。回避方法は現在検討中で,携帯電話からアクセスできるようになるのは2003年秋以降になるとしている。

(榊原 康=日経システム構築)