これは役立つ!海外Webサイト  ベンチマーク・サイト  続き

SAPのベンチは新しい標準になりつつある
 「SAP Standard Application Benchmarks」([11])は,ドイツSAP社が公開しているベンチマークで,新しいハードウエアやシステム・コンポーネント,あるいはRDBMS(Relational Database Management System)などを選択するときの参考になるように開発・公開されている。1993年4月の「SAP R/3 Release 1.1H」の時代から公開されているので,それなりの歴史を持つ。最も知られているのは「Sales and Distribution(SD)Benchmark」で,SAP R/3の販売管理モジュールをそのまま稼働させるところが特徴。そして,このモジュールを使用したときの受注の入力・照会・変更,送り状発行など典型的な処理パターンをシミュレートし,平均応答時間2秒以下を維持できる同時並行ユーザー数と時間当たりのダイアログ数を測定する。ベンチマークの単位は「SAPS」。1SAPSは100明細行を1時間で処理できる性能を示す。SAP SDのほかにも,「Assemble-to-Order(ATO)Benchmark」「HR Benchmark(Batch)」をはじめとして多くのベンチマークがあり,用途に合わせて選択できる。テスト結果については,SD(Sales and Distribution benchmark),ATO(Assemble-to-Order Benchmark),BW(SAP Business Information Warehouse Benchmark)の各ベンチマークの結果が2-tier(2層)と3-tier(2層)といったシステム構成に分けられて公開されている。

OracleやSiebelなどソフト・ベンダーのサイトも要チェック
 米Oracleの「Oracle Applications Standard Benchmark」[12]は,Oracle Applicationを使用した場合のパフォーマンスを測定し,スケーラビリティをチェックしたり,チューニングなどを行う資料とするためのベンチマークである。特にERPにその比重を置いている。テストを実施するときのシステム構成としては,Oracle Financial Applicationsの「Accounts Payable(AP)」「Accounts Receivable(AR)」「Fixed Assets (FA)」「General Ledger(GL)」の各モジュール,Oracle Supply Chain Management Applicationsの「Inventory(Inv)」「Order Entry(OE)」「Purchase Orders(PO)」の各モジュールなどを使う。これらを18のオンライン・トランザクションと,7つのバッチ・ジョブなどからベンチマークが実施され,結果も公開されている。

 そのほかのソフトウエア・ベンダーも,例えば,米Siebel社の「Siebel PSPP(Platform Sizing and Performance Program)Benchmark」([13])や,オランダBaanERP社の「BaanERP benchmark Kit」などもSAPやOracleと同様に,独自のベンチマークを持っているようだ。さらに米J.D. Edwards OneWorldや米PeopleSoftなどのベンダーもベンチマーク・テストの結果を公表しており,米Microsoftが,自社製品に関連してどのようなベンチマークがあるかをまとめたWebサイト「SQL Server Benchmark」[14]や,「Windows Server 2003 Benchmark」[15]から逆引きで調べられる。

Exchange ServerもLotus Notesも標準ベンチマークで性能を競っている
 「Medium Messaging Benchmark(MMB)」は,Exchange Server用のベンチマーク・テストである。現在は,MMB2が使われている([16])。メール・サーバーとしてExchange Serverを使用し,クライアントとして,Outlookを使用したMAPI(Messaging Application Program Interface)のプロトコルを使ったパフォーマンスをスループットとして測定できる。ベンチマークの結果については,Performance and Scalability[17]のページで参照できる。これと同様に,Lotus Notes用にはNotesBench ConsortiumのNotesBench[18]というベンチマーク・ツールがあるようだ。

ベンチマークについて勉強するならこのサイト
 最後に紹介する「The Benchmark Handbook」は,実際のベンチマークではなく,米国の出版社Morgan Kaufmann Publishersと,WebサイトのBenchmarkResources.comが公開しているベンチマークに関するオンライン・ブックである[19]。同名の書籍をもとに,オンライン・ブックとして再構成したもので,TPCの歴史から始まり,Wisconsin Benchmark,AS3AP Benchmark,SPC,Neal Nelson Database Benchmarkなど様々なベンチマークが扱われている本格的なベンチマーク書籍。例えば,第11章「Doing Your Own Benchmark」など自分でベンチマークを行う際に参考となるような記載も見つかるだろう。ベンチマークについて集中的に勉強したいのであれば,このサイトはとても参考になる。

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 今回は,あくまでオンライン・トランザクション系のベンチマークなどを中心に取り上げてみた。PC改造やチューニング向けのベンチマーク・プログラムや,Webサイトのパフォーマンス・チェックなどに使えそうな実用的なベンチマークについてはあえて扱わなかった。もし,機会があればこの手のWebサイトのパフォーマンスやチューニングを行うための測定ツールなどを紹介してみたいと思っている。

■今回取り上げたサイトのリンク
 ●TPC(Transaction Processing Performance Council)
 [1] http://www.tpc.org/
 [2] http://www.tpc.org/tpcc/default.asp
 [3] http://www.tpc.org/tpch/default.asp
 [4] http://www.tpc.org/tpcr/default.asp
 [5] http://www.tpc.org/tpcw/default.asp
 [6] http://www.tpc.org/tpcc/results/tpcc_perf_results.asp
 [7] http://www.tpc.org/tpch/results/tpch_perf_results.asp
 ●SPEC(Standard Performance Evaluation Corporation)
 [8] http://www.specbench.org/
 [9] http://www.spec.org/cgi-bin/osgresults?conf=general
 [10] http://www.spec.org/results.html
 ●SAP
 [11] http://www.sap.com/benchmark/
 ●Oracle
 [12] http://www.oracle.com/apps_benchmark/
 ●Siebel
 [13] http://www.siebel.com/products/performance_benchmark/index.shtm
 ●米MicrosoftのSQL ServerとWindows Server 2003のベンチマーク紹介サイト
 [14] http://www.microsoft.com/sql/evaluation/compare/benchmarks.asp
 [15] http://www.microsoft.com/windowsserver2003/evaluation/performance/benchmarks/default.mspx
 ●Microsoft Exchange Server
 [16] http://www.microsoft.com/exchange/techinfo/planning/2000/mmb2desc.asp
 [17] http://www.microsoft.com/exchange/techinfo/planning/2000/PerfScal.asp
 ●Lotus Notes
 [18] http://www.notesbench.org/bench.nsf?OpenDatabase
 ●The Benchmark Handbook
 [19] http://www.benchmarkresources.com/handbook/