これまで運用してきたWindowsNTドメインを,新規に構築するWindows 2000のActiveDirectory(AD)ドメインへ移行させる計画です。移行に当たっては,クライアントの所属ドメインやユーザー環境も引き継ぐ予定です。しかし,ドメインが変わると同一ユーザーとして認識されずユーザーのデスクトップ環境が初期状態に戻ってしまいます。ユーザー・プロファイルを移行して,ユーザーが利用しているデスクトップの設定をそのまま維持する方法はないでしょうか。
最も簡単なのはActive Directory移行ツール(ActiveDirectory Migration Tool:ADMT)で一括に移行させる方法です。 ADMTは,ユーザー・アカウントなど既存ドメインの情報を新しいドメインに移行するツールです。Windows2000 Serverにバージョン1.0が,WindowsServer 2003にはバージョン2.0が付属しています。また,MicrosoftがWebサイトに公開している英語版のバージョン2.0をWindows 2000Serverのユーザーも利用できます。 ADMTの「コンピュータの移行ウィザード」を使うと,各コンピュータ上に保存されているユーザー・プロファイルを移行できます。具体的には,変換項目の指定画面で[ユーザープロファイル]を有効にすれば,そのドメインに所属する全コンピュータが持つユーザー・プロファイルを新しいドメインのものに移行してくれます(図4)
ADMTや標準のコピー機能には問題が このため,できればユーザー自身が手動で移行できる手順を確立しておいたほうがよいでしょう。しかし,単純に「Documents and Settings」フォルダにある古いプロファイルのデータを,新しいユーザー・アカウント名のフォルダとしてコピーしてもユーザー・プロファイルは移行できません。 マイクロソフトではユーザー・プロファイルをコピーする機能を標準で用意しています。新しいユーザーでログオンしてユーザー・プロファイルを作成した後,管理者権限のあるユーザーでログオンし直し,[ユーザープロファイル]の画面を開きます。そこで,古いユーザー名を選んでから[コピー先]のボタンを押して新しいユーザーのプロファイル・フォルダに直接コピーします。 しかし,細かい原因は不明ですが,アイコンやプログラム・メニューの一部,壁紙が移行できないなど予期せぬ問題が発生することもあります。そのため,筆者としては推奨できる方法ではないと考えています。
移動ユーザー・プロファイルを利用 具体的な手順は,次のようになります。まず,管理者は新しいドメインにユーザーを登録する際に,各ユーザーの[プロファイルパス]に何らかの規則に従ってパスを指定しておきます。
エンドユーザーは,まず元のユーザーとは別のコンピュータの管理者権限を持つアカウントでログオンして[ユーザープロファイル]の画面を開きます(図5)。そして,それまで利用していたユーザー・アカウントのプロファイルを選択して[コピー先]ボタンから[プロファイルのコピー先]と[使用を許可するユーザー]を指定します。この時のコピー先はローカルとサーバーのどちらでも大丈夫ですが,管理者が[プロファイルパス]として指定した情報と一致させる必要があります。事前に周知するなどきちんと意思の疎通をしておきましょう。 それから,「コンピュータの管理」ツールで,移行先ドメインのユーザーをローカルのAdministratorsグループに登録し,いったんログオフします。 その後,移行先ドメインの新しいユーザー・アカウントでログオンします。 元のユーザー・プロファイル内容が反映されていることを確認してから,今度は[ユーザープロファイル]画面で移行後のユーザー・プロファイルを選択して[種類の変更]からの種類を[ローカルプロファイル]に変更します。 これで移行は基本的に完了ですが,念のため不要となったプロファイルのコピー先フォルダを削除しておきましょう。また,必要なければローカルのAdministratorsグループからも外しておきます。ドメインの移行時にはコンピュータの所属ドメインも変更しますが,その作業は新しいアカウントでログオンした後の,どのタイミングで実行しても大丈夫です。 一方,管理者は移行が完了した時点で,設定した[プロファイルパス]を削除します。この方法では「移行元ドメインが移行先ドメインを信頼する信頼関係を結ぶ」ことが必要ですので実行時には注意してください。 (永尾 幸夫)
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NTドメインからADに移行する際にユーザーの操作環境をそのまま引き継がせたい
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