Q

運用中のWindows 2000サーバーを計画停止し,サーバーのパッチ適用などのアップデート作業を実施したところ,作業途中で正常にWindows 2000が起動できなくなりました。そこで,すばやく正常状態に戻すため,毎日実施しているシステムのフル・バックアップからリストアしてシステムを復旧することにしました。復旧作業では最初にWindows 2000を新規にインストールし,バックアップ装置を認識させました。その後,フル・バックアップからシステムの全パーティションに対してフル・リストアを実施しましたが,一部のハードウエア機器などが正常に動作しません。


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図1●[FilesNotToBackup]中に指定されているファイルはバックアップされない

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図2●[KeysNotToRestore]に指定されたエントリは,リストア先のシステムでレジストリが復元されないか,もしくはマージされる
A

Windows 2000に付随する標準バックアップ・ツール,および互換性のあるサード・パーティ製品では,すべてのファイルはバックアップできません。レジストリ\HKEY_LOCAL_MACHINE
\SYSTEM\CurrentControl
Set\Control\BackupRestore
\FilesNotToBackupに指定されたすべてのファイルはバックアップから除外されるからです(図1)。

 一方,リストアの場合も,レジストリHKEY_LOCAL_MACHINE
\SYSTEM\CurrentControl
Set\Control\BackupRestore
\KeysNotToRestore中に指定されたエントリは,リストア先のシステムでレジストリが復元されないか,もしくはマージされます(図2)。

 レジストリKeysNotToRestoreではキーInstalled Servicesに特に注目してください。これによってリストア先のシステムでサービスに関するレジストリ・エントリがマージされるかどうかが決まります。このキーのデータの最後が「\」の場合,このエントリに指定されたパスの部分はリストアされません。また,「¥*」の場合は,リストア先のシステムのレジストリとマージされます。デフォルトでは,サービスはバックアップしたシステムで登録されているものとリストア先のシステムで登録されているものとがマージされます。

 例えば,バックアップ元システムでは,Webサーバー機能をサード・パーティ製品で実現するため,IIS(Internet Information Services)に関するサービスを停止しているとします。しかし,リストア先のシステムでデフォルトのまま開始となっていると,リストアの結果,これらのサービスは開始状態となります。この結果,バックアップ元システムとは異なるシステムとなります。

 今回問題となっている,リストアした後にハードウエア機器が正常に動作しないというトラブルの原因になるのは,KeysNotToRestoreレジストリ内のキーPlug & Play(データ:CurrentControlSet\Enum\)です。

 NIC(ネットワーク・インターフェース・カード)や,ファイバ・チャネルのマルチパス・ソフトウエアなどは,「CurrentControlSet\Enum\」レジストリに構成情報を保存します。つまり,デフォルトではリストアした場合,ネットワーク・インターフェース・カードなどのハードウエア機器は正常に動作しません。

 この問題を回避する方法は,2つあります。1つは,リストア先のシステムで「Plug & Play」から「CurrentControlSet\Enum\」の行を削除してからリストアを実施することです。もう1つは,リストア先のシステムに,Windows 2000 Service Pack 4を適用後,リストアする方法です。Windows 2000 Service Pack 4を適用すると,上記のデータは自動的に削除されます。詳細は,マイクロソフトのサポート技術情報「249694,Windows 2000インストールを別のハードウエアに移動する方法」を参照して下さい。

 システムのリストアは,このほか様々な注意点があります。「全ドライブ名および%SystemRoot%フォルダを一致させる」「ファイル・システムを同一にする」「ドメインに参加せず,ワークグループの状態でリストアを実施する」「コンピュータ名を同一にする」「システム状態を含め同時にリストアする」などはぜひとも確認しましょう。

瀧澤 俊臣