ファイル・サーバーとして使用していたWindows 2000のメンバー・サーバーをActive Directoryドメイン・コントローラ(DC)に昇格しました。DCPromoでは問題なくDCへの昇格に成功し,DCおよびファイル・サーバーとして正常に稼働を再開しました。ところがその後,以前からファイル・サーバーを使用していたクライアント・ユーザーからネットワーク・コピーなどのパフォーマンスが低下したとの連絡を受けました。DCのシステム全体の負荷は以前と大きな違いがないことを確認しています。それ以外にDCに昇格するとWindows 2000の処理速度が低下する要因はあるのでしょうか?
Windows 2000のメンバー・サーバーをDCに昇格すると,DCとしての負荷が以前より増大します。これに加えWindows 2000のDCは,DCとしての機能を確実に提供するためにパフォーマンスを犠牲にしている部分があります。
DCPromoにより,DCに昇格するとシステム・ディスクやActive Directoryデータベース,ログ・ファイルを格納するドライブの書き込みキャッシュが自動的に無効になります(図1)。これにより,DC上のディスクへの書き込みパフォーマンスが低下します。DCでは電源障害などによりシステムが強制終了したような場合にファイル複製サービスによる回復が行われなくなるのを防ぐため,ディスクの書き込みキャッシュを無効にしています。詳細は,サポート技術情報の「Windows 2000ベースのサーバーをドメインコントローラに昇格させるとネットワークのパフォーマンスが低下する」(321543)を参照してください。 DCに限らず,重要なメンバー・サーバー(ファイル・サーバー,アプリケーション・サーバー)でも,Windows 2000 Service Pack(SP)2以前の場合は,書き込みキャッシュを有効にすると,データの損失,システム・クラッシュなどが発生する可能性があります。詳細はサポート技術情報の「“書き込みキャッシュを有効にする”機能を有効にするとデータが失われる可能性がある」(281672)を参照してください。このような重要なサーバーでキャッシュによるパフォーマンスとシステムの信頼性を向上させるには,Windows 2000 SP3を適用するとともに,ハードウエアRAIDコントローラ,バッテリ・バックアップ付きライトバック・キャッシュの導入を検討します。 これまで説明してきたようにDCはDCとしての機能を確実に提供するために,通常のメンバー・サーバーとは内部で異なる動作をする個所があることを理解する必要があります。DCに昇格すると基本的な負荷が増大してパフォーマンスに影響を与えますが,影響する項目は単なるシステム負荷だけではないということです。このため,ファイル・サーバーやアプリケーション・サーバーは極力DCと分離して運用することが望まれます。またDC自体にもグローバル・カタログや操作マスターなどの役割分担があるため,機能を分散および冗長化して運用することが重要となります。 (瀧澤俊臣)
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Windows 2000のサーバーをDCに昇格したらパフォーマンスが低下した
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