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現在Windows 2000 ServerでスタンドアロンDFSを使っていますが,ルート・サーバーが壊れるとDFSが利用できなくなります。そのため,DFSの構成情報をバックアップをしようと考えています。書籍などでDFSの構成情報のみをバックアップできるという記述を見たことがあるのですが,ツールにはそのような項目は見当たりません。どこでバックアップ/復元するのでしょうか?

A

DFS(分散ファイル・システム)は,ネットワーク上に散在する複数の共有フォルダをあたかも1つのサーバー上のサブフォルダのように見せることができる機能です(図1)。DFSルート・サーバーと呼ばれるサーバーに,クライアントからアクセスする際の窓口となる「DFSルート」を定義し,実体のあるファイル・サーバーの共有フォルダとリンクする「DFSリンク」を設定することで,簡単に実現できます。


図1●分散ファイル・システムを実現するDFSルートとDFSリンク
分散ファイル・システムは,ネットワーク上に散在する共有フォルダをあたかも1つのサーバー上のサブフォルダであるかのようにすることができるシステム。サブフォルダのルートとなる「DFSルート」,複数サーバーの共有フォルダとリンクする「DFSリンク」から構成されている。

 Windows 2000 ServerのDFSにはActive Directory(AD)を必要としない「スタンドアロンDFS」と,ADを必要とする「ドメインDFS」の2種類があります。スタンドアロンDFSの場合,DFSの構成情報がルート・サーバーのレジストリにしか格納されていないため,ルート・サーバーが壊れると,DFSを利用できなくなります。このため,データの実体がある複数のファイル・サーバーだけでなく,DFSリンクなどの構成情報もバックアップしておきたいものです。  残念ながら,DFSの構成情報のバックアップ機能は,管理ツールの[分散ファイルシステム]には用意されていません。しかしDFS用のコマンドであるDFSCMDなどをうまく使うことでバックアップできます。

 具体的には,コマンド・プロンプト上で現在のDFSの構成情報を表示する「DFSCMD /VIEW」コマンドを実行し,その結果をファイルにリダイレクトすれば大丈夫です(図2)。こうすることで,DFSボリューム構造を再作成するバッチ・ファイルを作ることができます。ただし,作成されたバッチ・ファイルは標準出力をリダイレクトしただけのため,コマンドが終了したときに表示される「コマンドは正常に終了しました。」というメッセージまで書き込まれてしまいます。これがあっても復元には問題ありませんが,煩わしいと思われる方はメモ帳などでバッチ・ファイルを編集してこの一行を削除してください。

 DFSの構成情報の復元は,このバッチ・ファイルを実行するだけ可能です。ただし,その前に管理ツールの[分散ファイルシステム]でDFSルートを作成する必要があります(図3)。バッチ・ファイルにはDFSルートの復元まで記述されていないためです。DFSルートの名前はバックアップ前のものと異なっていても構いません。

山川秀明

図2●DFSのボリューム構造をファイルにバックアップする
DFSCMDコマンドを使って,現在のDFSの構成情報を表示する。その結果をリダイレクトすることで,DFSの構成情報を再作成するバッチ・ファイルを作ることができる。

図3●構成情報を復元する前にDFSルートを作成する
バッチ・ファイルで復元できるのはDFSリンクのみ。DFSルートは復元できないので,手動で作成しておく必要がある。