Active Directory環境でWindows 2000を利用していますが,コンピュータなどの新規のオブジェクトをActive Directoryに作成すると,新規に作成したオブジェクトと既存のオブジェクトが削除されてしまいます。原因と対策を教えてください。
この現象は,バックアップからドメイン・コントローラを復元したときに発生する場合があります。原因は,バックアップから復元したドメイン・コントローラで作成したオブジェクトとその他のドメイン・コントローラで既に作成されたオブジェクトそれぞれのセキュリティ識別子(SID)が重複することです。 SIDは重複してはならないため,新規にオブジェクトを作成した場合,同じSIDを割り当てられてしまったオブジェクトが両方とも自動的に削除されます。イベント・ログには重複したSIDに関するイベントが記録されます。
SIDが重複すると両方が削除される ドメイン環境のSIDは,ドメイン内で共通の部分(ドメインのSID)とオブジェクトごとに異なる部分で構成されています。オブジェクトごとに異なる部分がRID(相対識別子)です。 NT 4.0までのドメインではプライマリ・ドメイン・コントローラという役割のマシンがドメイン内に1台だけあり,RIDの割り当てを一元管理することで重複を回避していました。 Active Directoryドメインでは,複数のドメイン・コントローラでRIDの割り当てが可能になっています。各ドメイン・コントローラが重複したRIDをセキュリティ・プリンシパル・オブジェクトに割り当てないよう以下の仕組みが用意されています。
(1)ドメイン内には,RIDマスタという役割のドメイン・コントローラが1台設けられます。RIDマスタは,重複がないように選んだ一連のRID(RIDプール)をドメイン内の各ドメイン・コントローラに割り当てます(図1)。
古いRIDプールの復元が原因 より詳細な説明は,以下のマイクロソフトのサポート技術情報「JP289154,ドメインコントローラ上のディレクトリサービスのバックアップと復元によってSIDが重複する」,「JP307725,RID FSMOドメインコントローラのバックアップと復元を行うとSIDが重複する」を参照してください。
重複したRIDを持つドメイン・ まず,重複したRIDを持つドメイン・コントローラを,恒久的にドメインから切り離して,OSから再インストールしてください 切り離そうとしているドメイン・コントローラが操作マスタ(FSMO)の役割を持つ場合,ドメインから切り離す前にFSMO役割を他のドメイン・コントローラに移します。Windows 2000に標準で含まれるntdsutil.exeというコマンド・ライン・ツールの[role]機能を使用します。詳細はマイクロソフトのサポート技術情報「JP255504,Ntdsutil.exe を使用してドメインコントローラにFSMOの役割を強制移動または転送する」を参照してください。 緊急に対処する必要があり,正しく降格処理を行うことなくドメイン・コントローラをドメインから切り離した場合,切り離したドメイン・コントローラの構成データ(NTDS-DSAオブジェクト)がドメインから正しく削除されずに残ります。 このままでは同じ名前のマシンを再度ドメインに参加させられません。そこで,残されたNTDS-DSAオブジェクトを手動にて削除してください。ntdsutil.exeの[metadata cleanup]を使用します。詳細はマイクロソフトのサポート技術情報「JP216498,ドメイン・コントローラの降格に失敗した後,Active Directoryのデータを削除する方法」を参照してください。
重複したSIDは手動で削除
(1)コマンド・プロンプトより「ntdsutil」を実行します。
新規オブジェクトが削除不能の場合 この場合,Windows 2000 Support Toolsの「ADSI Edit」(Windows 2000 Serverのセットアップ用CD-ROMの\SUPPORT\TOOLSフォルダにあります)を使用して以下のように削除します。
(1)Active Directoryに適当なコンテナを作成します(図4)。 詳細はマイクロソフトのサポート技術情報「J066293,消去できないオブジェクトが発生した場合の対処策」を参照してください。
ドメイン・コントローラが壊れたら (山川秀明)
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Active Directoryにコンピュータなどを新規登録しても削除されてしまう
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