クライアント・マシンにパーソナル・ファイアウオールを入れたところ,メールの送信に異常に時間がかかるようになってしまいました。ファイアウオールをアンインストールしなければ解消できませんか。

 これは,ファイアウオールがメール・サーバーからの接続要求を遮断してしまうために起こる現象です。ほとんどのファイアウオール・ソフトは設定を一部変更するだけで対処できます。

 例として,Windows XPに標準装備される「インターネット接続ファイアウオール(ICF)」機能での設定方法を示します。

 まず,メール・サーバーへのアクセスに使っているネットワーク接続のプロパティ画面を呼び出します。コントロール・パネルから[ネットワーク接続](カテゴリ表示にしている場合は[ネットワークとインターネット接続]-[ネットワーク接続])をクリックしてネットワーク接続の一覧を出し,設定したい接続のアイコンを右クリックして[プロパティ]を選びます。

 次にこのダイアログの[詳細設定]タブで[設定]をクリックし,ICFの[詳細設定]ダイアログを表示します()。このダイアログで[追加]をクリックして,TCPの113番ポートへのアクセスをサービスとして登録します。最後に[詳細設定]ダイアログで,追加したサービスがチェックされていることを確かめて[OK]をクリックします。他のソフトでもメール・サーバーからクライアントのTCPの113番ポートへのアクセスを許可することで同様に対処できます。

 ここで設定したTCPの113番ポートは「ident」と呼ぶサービスへのアクセスに用いられています。一部のメール・サーバーは,クライアントからのメール送信要求を受け入れる前に,クライアント上のidentサービスにアクセスして,送信要求を確認しようとします。Windowsはidentサービス機能を持っていないのでこのident接続は失敗しますが,実際には成否にかかわらずメール送信を受け付けてしまうサーバーがほとんどです。ファイアウオールがあっても,やはり送信自体は可能ですが,ファイアウオールがない場合と異なり,接続がタイムアウトするまでidentの失敗を認識できないのです。メール送信に時間がかかるのは,このタイムアウトの待ち時間が発生するためです。

(日経Windowsプロ編集)

図:メール・サーバーからの接続を受け入れるルールの作成方法