(Paul Robichaux)

 アルバート・アインシュタインは伝えられるところによると,次のような文を壁に書いていたという。「重要なものがとらえられるすべてのものの中にあるとは限らず,重要なものすべてをとらえているわけではない」。

 ただし,この称賛に値する意見の後半は,Exchange Serverの設計と実装に関しては事実ではない。ふつう,サーバーを設計する際のゴールは,サービス・レベル定義書(SLA)で示されるように,あるレベルのサービス品質や性能を提供することだ。従って,重要なものすべてをとらえなければならず,客観的にサーバーの性能を測る助けになるものは,何でも役に立つ。

メッセージ負荷やディスク負荷をシミュレート
 米Microsoftの「Exchange Server 2003 Tools and Updates」サイト(該当サイト)には,サーバーの性能を測定したり,チューニングしたり,スケーラビリティに役立つ3つのツールが公開されている。これらのツールを一緒に使うと,あなたのExchangeサーバーの設計の様々な面をテストできる。

 最初のツールは「Load Simulator(LoadSim)2003」だ。古き良きLoadSimがしばらく前に存在していたが,最新バージョンは新しいMessaging API(MAPI)におけるMessaging Benchmark(MMB-3)と,Exchangeのキャッシュ・モードで運用しているときのOutlook 2003が生成する負荷をシミュレートできる。

 MMBは,サーバー性能を測るための標準化された方法を提供するために,サーバーに対するMAPIリクエストの決まったセットを作る。リクエストの数と種類をチューニングすることで,重いものから軽いものまで様々なメッセージ処理の負荷を,LoadSimがかけられるように調整できる。ただし,LoadSimはMAPIクライアントだけをシミュレートするので,もしあなたがIP(インターネット・プロトコル)用のクライアントを使っているのなら,別のツールが必要になるだろう。

 第2のツールは,IP用の負荷測定のための「Exchange Stress and Performance(ESP)2003」だ(「Medusa」とも呼ばれていた)。LoadSimがMAPIクライアントの代わりをするように,ESPは,IMAP(インターネット・メッセージング・アクセス・プロトコル)やPOP(ポスト・オフィス・プロトコル),そしてOutlook Web Access(OWA)クライアントの代わりをする。ESPは特定のプロトコルに限定するといったサーバーにどんな負荷をかけるか幅広い設定オプションを提供する。

 第3のツールは「Jetstress」だ。LoadSimとESPがクライアントの動作をシミュレートするのに対して,Jetstressは実地に使われているExchange Server上で,典型的なパターンに従い,ディスク・サブ・システムへのI/Oリクエストを作り出すことで大きな負荷をかける。もちろん関心のあるパラメータ(例えば,ディスク・キューの長さなど)を監視するなど,Jetstressが実際に生み出す効果を見るには,Performance Monitorや類似のツールを使う必要がある。

 ESPとJetstressは,Exchange Server 2003とExchange 2000 Serverで動作し,LoadSimはこれらのシステムに加え,Exchange Server 5.5でも動作する。各ツールにはそれをどう使うかと何を測定できるかを解説したドキュメントが付属している。