■日経Windowsプロでは,米Advanced Micro Devices(AMD)でEnterprise Software Strategy部門に所属するマーガレット・ルイス氏にインタビューを行った。この中で「Windows x64 Editionは,AMD64にスペシャル・チューニングされている。x64 Editionを使うのであれば,AMD64のプロセッサだ」と主張した。
――――AMDは以前から「Windows x64 EditionがAMD64にチューニングされている」と主張していますが,その根拠は? [Margaret Lewis氏] x64 Editionがデフォルトで「NUMA(Non-Uniform Memory Access)」をサポートしていることでしょうね。 AMD64は従来のx86プロセッサとは異なってフロント・サイド・バスを持たず,メモリー・コントローラをプロセッサに内蔵しています。またプロセッサ同士は,「HyperTransport」という高速バスで直結されているのです。AMD64のこのようなアーキテクチャは「NUMA」というもので,マルチプロセッサ構成において,それぞれのプロセッサがローカル・メモリーを保有する方式です。 一方,現在のマルチプロセッサの主流である「対称型マルチプロセッサ(SMP)」は,各プロセッサがメイン・メモリーを共有し,共通のバスを経由してメモリーにアクセスする方式です。各プロセッサはローカル・メモリーを持たない。 AMD64をマルチプロセッサ構成にした場合,メイン・メモリーは各プロセッサにじかにつながっています。他のプロセッサが抱えるメモリーにアクセスする場合は,HyperTransportを経由するので,どんな方式かといえば,確かにNUMAです。 ――――NUMAにはどんな利点があるのでしょうか。 [Lewis氏] NUMAは,プロセッサ数が増えたとしても,ローカル・メモリーにアクセスする限り,メモリー・アクセスに遅延が起きないことです。もっとも,他のプロセッサが抱えるメモリーにアクセスする場合は,遅延が発生しやすくなる。NUMAの利点を生かすためには,各プロセッサ上で走っているスレッドのメモリー領域が,各プロセッサのローカル・メモリーに確保されるよう,ソフトウエアでの対応が必要なことです。 ――――32ビット版のWindows Server 2003では,上位バージョンの「Enterprise Edition」と「Datacenter Edition」しか,NUMAに対応していませんでしたが… [Lewis氏] x64 Editionの場合は違いますよ。Windows Server 2003の全Editionだけでなく,Windows XP ProfessionalでもNUMAに対応しています。 Windows x64 Editionは,AMD64にスペシャル・チューニングされています。その最大のものが,デフォルトでNUMAをサポートしていることなのです。これを推進したのは(Windows NTの初代アーキテクトであり,AMD64やWindows x64 Editionの開発に深くかかわったとされる)David Cutler氏のチームなのですよ。 ――――AMDは2005年4月に,デュアル・コアのAMD64を発表していますね。 [Lewis氏] NUMAはプロセッサ同士のアーキテクチャです。一方,デュアル・コアは1つのプロセッサの中のアーキテクチャです。AMD64は元々デュアル・コアを想定して設計されています。デュアル・コアになっても消費電力量がシングル・コア時と同じです。データ・センターのような,電力消費量を抑えなければならないユーザーにとって,AMD64デュアル・コアは非常に魅力的な製品です。 【IT Pro-Windows Reviewメール】を好評配信中。申し込みはこちら |