米国のシステム管理ソフト大手NetIQのCharles M. Boesenberg CEO(最高経営責任者)が来日し,日経Windowsプロ編集部のインタビューに応じた。

(聞き手:木下篤芳=日経Windowsプロ副編集長)


米NetIQ
ボーゼンバーグCEO


――NetIQは「システムの運用管理ツール」「セキュリティ管理ツール」「Web解析レポート・ツール」と3つの分野を事業の柱に掲げています。売上比率から見たそれぞれの貢献度はどのようになっていますか。

[ボーゼンバーグ氏] 2003年の会計年度の売上比率でいいますと,それぞれ42%,36%,22%です。最近の傾向としては,システム管理ツールが減少傾向,セキュリティ管理ツールがアップ,Web解析ツールが横ばいです。

 しかし,セキュリティ管理ツールの売り上げ比率がアップしたのは,昨年セキュリティ管理に強い会社を2社買収したためです。その影響で,システム管理ツールのポイントが相対的に下がりましたが,特に不調というわけではありません。

――今年,Windows Server 2003の発表に合わせて発表したシステム管理ツール「AppManager 5.0」の販売状況はどうでしょうか。

[ボーゼンバーグ] AppManager全体の販売は好調です。現状まだ古いバージョンのAppManager 4.01の方が売れています。Windows Server 2003の販売状況が「スロー」なので,Windows Server 2003の発表に合わせて出したAppManager 5.0に関しては,販売の急速な伸びは期待していません。

 Windows Server 2003は,Windows 2000と同じペースで企業の採用が進んでいるようですが,Windows NTに比べるとゆっくりしていると思います。Windows Server 2003向けのアプリケーションのExchange Server 2003が,ようやく出始めてきてまだこれからです。

 システム管理ツールは,システム構築がある程度完成して,カットオーバーする前に導入するものです。Windows Server 2003を使ったシステムをまだ構築中のところが多いということです。この状況も2004年春以降になれば変わってくると思われます。

 AppManager 5.0は,Windows Server 2003対応だけがメインの機能ではありません。Notes管理機能を先行して日本語版に搭載しました。他にも,SAP/R3のエージェント,Linux/UNIXのWebLogic,WebSphere,SunONE,Oracleデータベースへの対応強化など,AppManager 5.0には新機能がたくさん搭載されています。

――「Domain Migration Administrator」など,WindowsやExchangeの移行ツールの販売状況はどうでしょうか。

[ボーゼンバーグ] 移行ツールは2002年に比べて非常に伸びています。これから来年にかけて移行しようとしているユーザーが多いのではないでしょうか。今年よりも来年にピークがあるでしょう。

 いままでActive Directoryを使ったシステム構築を行う技術者は少なかったのですが,最近ノウハウが蓄積されて,よいシステムを構築できる技術者が増えてきました。

 日本企業は現在,来年の予算を立てている段階でしょう。2004年春以降になれば,システムの移行作業が進むでしょう。

――全体の販売戦略に秘策はありますか?

[ボーゼンバーグ] NetIQの製品を利用すれば,システムのROI(投資収益率)が平均600%になるという調査会社の報告がありました。これからは,それを企業にアピールしていきます。日本の企業は,ハードやソフト,人件費がどのくらい下がったかというのは理解します。しかし,システム全体を考えてROIを測定する方法を知らないお客様が多いようです。

 それから,今後はセキュリティ管理ソフトの力を入れます。

――セキュリティ管理は,ウイルス対策ソフトなど,競合製品が多いですが…

[ボーゼンバーグ] セキュリティ管理ソフトは,ウイルス対策ソフトに限らず,様々なところで使われています。NetIQの目指すソフトは,異なるベンダーのソフトが使われている環境で,それらのログを分析し,次のアクションを起こすためのソフトです。弊社のシステム管理ソフトには,データベース対応機能がありますが,データベース・ソフトが要らないということではありません。それと同じです。