「Xbox 360」レポート　第2回

Media Centerの強化版を搭載，iPodとPSPもサポート

PaulThurrott

2005.05.29

（Paul Thurrott）

　Microsoftは5月17日，ビデオ・ゲーム機でありホーム・エンタテインメント・システムである「Xbox 360」を発表した。このデバイスには，「Windows XP Media Center Edition 2005」搭載パソコンと通信できるようにする「Media Center Extender（MCX）」機能が統合される。第2回は，XboxのMCX機能を紹介しよう。

　しかし，こんな単純な書き方では，Xbox 360のデジタル・メディア処理性能にしか，目が向かなくなる。それは単にMedia Centerインターフェースを提供するだけでなく，ある意味でMedia Center PCの上位にXbox 360を置くものだ。つまりXbox 360は，Windows XPが稼働しているネットワークPCからコンテンツを集約する作業もこなすし，Apple ComputerのiPodやソニーのPSP，そのほかの携帯型デバイスとも直接につながる。

　Xbox 360エクゼクティブ・プロデューサのJeff Henshaw氏とWindowsゼネラル・マネージャのJoe Belfiore氏は，この日に行われた会見で次のようなことを明らかにした。つまり，Xboxを単なるビデオ・ゲーム機以上のものに拡大しようとしているMicrosoftの試みは，実は同社のWindowsチームとXboxチームの共通の目標であり，1年もの長きにわたる共同作業のたまものだということだ。

　「われわれは大きな数字を公表しよう」とHenshaw氏は語った。「Xbox 360で，われわれは世界の10億人の人々に届けたいと思っている。人口統計上その数に届くには，人々が違ったやり方で娯楽を得ていることを理解する必要がある。みんないくつか別々の方法で遊んでいるのだ。数人はゲームで遊んでいる。数人は音楽やトランプ・ゲームを楽しんだり，録画したTV番組を見たり，写真を見たりしている。より多くの楽しみを組み込んで，そしてもっとたくさん他につながるようにすれば，それだけカバー範囲は広がるだろう」。

　「Xbox 360での目標は，それを顧客が体験するすべてのことをサポートし，しかもそれを高品位で実現する電子機器の，最初の1台にすることだ」と彼は続けた。「それは2つの能力が一緒になったときに，よりパワフルな統合された力になる」。

　分かりやすいゲーム機としての特徴を別にすれば，Xbox 360はMCXの第2世代をサポートしている。それは今日利用できる単独のMCXや，XboxベースのソフトウエアのExtenderが提供する体験をはるかに超えるものだ。MCXが提供する機能は，直接Xbox 360に組み込まれるので，手動で光ディスク・ドライブにロードしなければいけないような別のソフトウエア・ディスクは必要なくなる。このことは今日のXboxベースのExtenderキットにある制限，中でもリモート・コントロールでその装置の電源を切れないという制約を無くすものだ。

　Xbox 360のMCX機能は，付属のリモート・コントロール機能で制御できる。ユーザーはそれをコンソールから制御するには，Windows XP Media Center Edition 2005パソコンを持たなくてはならず，Microsoftは「Emerald」と呼ばれるソフトウエアの更新を予定している（関連記事）。これはXbox 360の機能をサポートできるようにXP Media Center 2005を更新するものだ。これらの機能は，TVの生中継と録画の両方に完全なHDTVサポートを提供する。つまりXbox 360のMCX機能でユーザーができることは，ホーム・ネットワーク上でHDTV品質のブロードキャストを流せるということであり，現在のExtenderにはない能力だ。

　さらにXbox 360のMCX機能は，Media Centerがユーザーに提供するものをすべて内蔵しており，今日のExtenderのように最低限度の機能しか持たないのではない。つまりアニメーションと，写真のスライドショー間の移動などを完備し，完全なレベルのMedia Center機能を入手できるということだ。多くのユーザーにとって，Xbox 360のMCX機能は，Media Center PCのデフォルトのユーザー・インターフェースよりもはるかによい見栄えがするだろう。

　もし，あなたがWindows XP Media Center Edition 2005パソコンを持っていない場合は，Xbox 360はWindows Media Connect技術を使い，あなたのXPベースのPCや，ホーム・ネットワークにあるデジタル・メディアとやり取りできる。この操作感は，Extenderが提供する操作感よりは劣るが，その代わりにXboxの「Access Music or Photos」インターフェース経由で，通常のXbox 360のメニューを使えるようになる。さらに，あなたはこのインターフェースを使ってCDオーディオや写真のディスクやXbox 360のハードディスクに直接リップした音楽や，それに接続されたMP3プレーヤや，やはりそれに接続されたデジタル・カメラに記録された写真を操作できる。

　予想していなかったことに，Xbox 360は競合する2つの携帯機器，つまりAppleのiPod系列のMP3プレーヤと，ソニーのPSP（Portable PlayStation）を直接サポートする機能も内蔵する。Xbox 360はiPodにストアされた音楽と写真を，そしてPSPにストアされた音楽，写真，ビデオをネイティブにサポートする。「iPodやPSPをUSBにつないだら，その全コンテンツにアクセスできるようにするつもりだ」とHenshaw氏は言った。「そのデバイスからすぐにプレイできるようにする。接続するとすぐあなたのステレオ経由でそのコンテンツを流せるのだ」。

　Henshaw氏とBelfiore氏は2人とも，Xbox 360を最良のデジタル・ハブ・デバイスにするために，WindowsチームとXboxチームの間では緊密な協力関係があると請け負った。「われわれはどちらもシンプルで競争力のある体験を顧客に提供することに熱心なのだ」とBelfiore氏は語った。「Xbox向けのExtenderは，こうした協力のリハーサルだったけれど，Xbox 360は本番だ。こうするためにそれは最初から設計されていた。われわれはどちらもその経験を積んだし，やるべきことも分かっている。前向きに考えれば今がまさにそれを現実に移すときだ」。「われわれは実際そのことにすっかりエキサイトしているんだ」とHenshaw氏も同意した。

連載のバックナンバーはこちら