(Paul Robichaux)

 私は小さな子供のころからサイエンス・フィクションが好きだった。1970年代に育ち,今日われわれが普通と考える技術を取り扱った物語や映画の楽しい思い出を持っている。しかし,全く実現に達しなかった技術の1つに,ユビキタスなパーソナル・コミュニケーションがある。

ユビキタスを実現してくれるIstanbul
 日常的に私は,
(1)コンピュータ:電子メール,VoIP,3つの異なるインスタント・メッセージング(IM)
(2)携帯電話:電子メールと音声通話
(3)固定電話:音声通話
——を使っている。各装置上で私が使うサービスと同様に,これらの装置のそれぞれは独自のモードと能力を持っている。私は,これらの通信モードを1つに集約した1台の高い機能を持つクライアントがあったらなんて素晴らしいだろうと思うことがよくある。

 米Microsoftも明らかにそう考えているのだ。「Office Communicator 2005」(開発コード名「Istanbul」)を3月8日に発表した。同社はコール制御,IM,プレゼンス(在席管理),テレフォニを統合した通信体験を提供し始めている。正しい携帯電話番号を記憶していなかったために大事な電話を受けそこなったり,VoIPソフトホン・ソフトをきちんと動かすのに悩んだ経験があったりする人にとって,この統合の恩恵は明らかだ。

 Communicator 2005は,かなり優れた特徴をいくつか備えている。
●PBX互換システムの利用:あなたは,互換性のあるPBX(構内交換機)システムやコンピュータを使って,自分の組織内のユーザーに電話をかけたり受けたりできる。Microsoftは,Communicator 2005は米Avaya,米Cisco Systems,米Lucent Technologiesを含む主要なPBXベンダーのシステムとつながるという。互換性のあるゲートウエイ・ソフトウエアがあると,コンピュータから電話へ発話することもできる。
●プレゼンス情報の充実:プレゼンス情報は,現在のIMクライアントよりもっと豊富になった。Communicator 2005は,相手先ごとにフリーか多忙かのデータをごく自然にExchangeからデータを引っ張って示せる。Outlook/ExchangeのOut of Office(不在)メッセージ・モデルと同様に働く。それぞれに応じて変えたプレゼンス・メッセージを準備できる。実際には,もし,OutlookやOutlook Web Access(OWA)でOut of Officeメッセージを設定していれば,IMの相手先はそれを目にすることになる。この機能は極めて役に立つ。昔のIMのプレゼンス・データは相手先がオフラインだと示すだけだったからである。
●Office Systemとの連携:Officeアプリケーション内からと,Office SharePoint Portal Serverサイトから発話できる。
●GAL検索:人を探すためにGlobal Address List(GAL)検索が使える。Windows Messengerと一緒にOffice Live Communications Serverを使っている場合,あなたの通信相手をリストに追加するには,その前に相手先の電子メール・アドレスが分からなければいけない,という面倒くさい条件があることはよくご存知だと思う。しかし,そんなことはもうなくなった。

Live Communications ServerのSP1も必要
 Communicator 2005は「Live Communications Server 2005 Service Pack 1(SP1)」に依存しており,これと同時に発表された。SP1はいくつか歓迎すべき新機能を備えている。(1)IM越しのスパムを制限する機能,(2)組織内で仲間同士の接続を準備する優れたインターフェース,(3)AOL Instant Messenger(AIM)/MSN Messenger/Yahoo! MessengerユーザーとのオープンなIM接続——などを含んでいる。公開インスタント・メッセージ(IM)との接続機能(PIC)は,あなたが実際に使う必要があるときまで購入しなくてもよい,個別にライセンスされたコンポーネントでサポートされるようになった。

 上記のことはみな,Exchangeとどんな関係があるだろうか?はっきりしていることは,Communicator 2005クライアント内で,Exchangeのフリー/多忙のデータを使えるということだ。みなさんはMicrosoftがExchange 12で統合メッセージングをサポートすると発表したことを思い出すかもしれない。

 Live Communications Server 2005 SP1の発表は,Microsoftがテレフォニの統合戦略のバックボーンに「Session Initiation Protocol(SIP)」の能力と,PBXの接続を使う計画であることを示している。

 Exchangeの発表はわれわれに,Exchange 12が恐らく備えるはずの能力をいくらかわれわれに教えてくれる。例えば,音声メール・メッセージを記録したり送信したり,クライアント側が使えるようにしたりする能力だ。Communicator 2005の登場で,こうした機能に対するクライアントのインターフェースがどんな風に見えるかということと,ピースが全部そろった時に,それがどう働くかということについて,ようやくわれわれは分かるようになった。