(Paul Thurrott)

 米Microsoftは2005年2月15日,「Windows Server 2003 Service Pack 1(SP1)」の最終版に近い「Release Candidate 2(RC2)」バージョンを出荷した(既報)。これはRC1のようにWebサイトからダウンロードして入手できるものだ。同社の関係者によると,Windows Server 2003 SP1は3月に完成する予定で,その直後に広く入手できるようになるという。

 Windows Server 2003 SP1の詳細については,すでにWebサイトで解説をしている。
「速報!Windows Server 2003 SP1の新機能」
「今から備えるWindows Server 2003 SP1」
今回,私は評価と導入に絞って書こうと思う。

XP SP2とほぼ同等のセキュリティ機能を備えた2003 SP1
 まず第1に,導入を始める前に,テスト・サーバーか,もしくは米VMwareの「VMware Workstation」やMicrosoftの「Virtual Server 2005」といった仮想マシン・ソフトを準備したほうがいい。

 Microsoftが最初にWindows Server 2003をリリースしたときに,それが当時最も安全なWindows OSになったことを思い出すかもしれない。その製品が大規模なセキュリティ面でのコード・レビューを実施した結果,数カ月にもわたって開発作業を中断したことが大きく寄与した。その後Microsoftは,次期Windows「Longhorn」(開発コード名)向けに計画されていたいくつかのセキュリティ技術を,現在のWindows向けに導入することを決めた。Microsoftはこうした技術「Springboard」(開発コード名)の第1陣を,「Windows XP Service Pack 2(SP2)」に導入した。Springboardの第2陣は,Windows Server 2003 SP1で登場するだろう。

 具体的には,XP SP2から受け継いだセキュリティ機能として,「Windowsファイアウオール」,Internet Explorer(IE)の「ポップアップ・ブロック」「情報バー」「アドオンの管理」,さらにメモリーを狙った攻撃を防ぐ技術「データ実行防止(DEP)」機能――などである。サーバーへの導入という特別な必要性から,こうした特徴の多くはXP SP2にあったものとは違う設定が加えられる。例えば,既存のWindows Server 2003システムをSP1にアップグレードすると,Windowsファイアウオールは有効にならない。というのは,その機能がコアなサーバーの機能をシャットダウンしてしまう可能性があるからだ。しかし,Windowsファイアウオールは,OSのセットアップ中には有効になっているので,あなたのシステムが無防備な間も攻撃されるのを防いでくれる。

 ほとんど例外なく,Windows Server 2003 SP1は,簡単に導入できるマイナーな更新だということを理解する必要がある。しかし,大規模なセキュリティ面での改良があるので,このリリースを無視してはいけない。私は,ユーザーがやらなければいけないことや,たくさんの要求を抱えていることを理解しているつもりだ。莫大な量の情報と,プレリリース版のコードが,Web上で受け取られるのを待っているのだ。できるだけ早くWindows Server 2003 SP1にアップデートすることをお勧めする。

x64 EditionのRC2もリリースされた
 Windows Server 2003 SP1 RC2のリリースに加えてMicrosoftは最近,「Windows Server 2003 x64 Edition」と「Windows XP Professional x64 Edition」のRC2版も出荷した(既報)。

 だがWindows Server 2003 SP1とは違い,このRC2版はまだ一般には入手可能になっていない。その代わりにあなたは,これらのバージョンを受け取るためにベータ・テスターにならなければいけないが,この状況はまもなく変わると思う。大体似ているRC1リリースは,既に一般公開されている(既報)。(編集部注:「日経Windowsプロ」2005年3月号にもCD-ROMが付属している)

 Windows Server 2003 x64 EditionsもXP Professional x64 Editionもいわゆるx64プラットフォームで動作する。x64プラットフォームとは,米Advanced Micro Devices(AMD)の「AMD64」や米Intelの「Extended Memory 64 Technology(EM64T)」ベースのマイクロプロセッサを指す。AMDのOpteron,Intelの新しいXeonやPentium 4 600シリーズがそれに該当する。もしx64に詳しくないのなら,われわれが今日使っているx86プラットフォームの互換性と性能に,Itaniumのような真の64ビット・プラットフォームに共通する先進のメモリーとリソースを加えた,つまり両方の世界のベストな点を1つにするものだ,と理解してほしい。

 Windows XP x64 Editionは,32ビット版と比べて機能はほぼ同等である。x64 Editionには,64ビット版と32ビット版の2つのIEを内蔵する。これはアドオン・ソフトの互換性を保つためで,32ビット版がデフォルトになっている。ほかには,MS-DOSや16ビット・アプリケーションなどのレガシーな技術を削除している。さらにNetBEUIやAppleTalkのようなレガシーなネットワーク・プロトコルのサポートも落としている。

 Windows Server 2003,x64 Standard Editionと同x64 Enterprise Editionもそれらに対応する32ビット版と大体同じである。Standard Editionは最大4プロセッサと32Gバイトのメモリー,Enterprise Editionは最大8プロセッサと1Tバイトのメモリーをサポートする。機能の点から見ると,どちらの製品もWindows Server 2003 SP1のコード・ベースを基にしているので,「セキュリティ構成ウィザード」のようなSP1の機能も内蔵するだろう。