(Paul Thurrott)

 新年は普通反省のときだが,私はセキュリティ・ホールに悩まされた2004年という過去は忘れてしまうほうがいいと思う。あの年はMicrosoftにとって変わり目だったと将来分かるだろう。つまりMicrosoftは2004年にWindows XP Service Pack 2(SP2)を出すのに夢中になっていて,その影響で今や出荷を延期されたプロジェクトが目白押しになっているからだ。また,2006年になれば同社はLonghornとその関連製品群に集中しているだろう。だから今回はMicrosoftが2005年に出荷するはずのいくつかの重要な製品をまとめて紹介する。

64ビット製品群が次々登場する
 2005年にMicrosoftは「x64」(AMDのAMD64とIntelのExtended Memory 64 Technology--EM64T)用の「BizTalk Server」「Commerce Server」「SQL Server 2005」「Windows Server 2003」「Windows XP Professional」を出荷するだろう。

 これらがリリースされれば,x64はIntelが苦労したItaniumよりももっと活気のあるプラットフォームになるだろう。Microsoftがx64を採用したことは,Windows NTの設計者David Cutlerの手柄とするべきだ。彼はx86プラットフォームの64ビット版アーキテクチャと,現実の世界での恩恵を初期から理解していた。

 実際にx64がスケールアップとスケールアウトの優秀さを示して,Itaniumを時代遅れにするのは時間の問題に過ぎない。Microsoftのx64製品に関して,多くの情報が入手可能であり,さらにたくさん出てくるだろう。

Exchange Edge Servicesつぶれ,Exchange 2003 SP2が出る
 「Exchange Server 2003 Service Pack 2(SP2)」は2005年第2四半期に出る予定だ。これは,Microsoftがそもそも現在は中断した「Exchange Edge Services」のために計画した機能のいくつかを含む。Exchangeユーザー向けのスパム・フィルタ「Exchange Intelligent Message Filter(IMF)」の新バージョンもある。

Longhornはベータ版で我慢しよう
 クライアントとサーバーの両方の「Longhorn」(次期Windowsの開発コード名)は,2005年にようやくベータ1が出る。Longhornクライアントは2006年に出荷され,Longhorn Serverは2007年初めに出荷される予定だ。Microsoftは当初2003年末にそのプロジェクトを世に問い,その後Longhornを劇的にスケールダウンした。しかし,私はいまだにそれがメジャーで競争力のあるリリースになると思っている。

スパイ対策ソフト「Windows AntiSpyware」の企業版が年末に
 Microsoftのクライアント用スパイウエア対策ソフト「Windows AntiSpyware」のパブリック・ベータ版が1月6日に出た。ビッグ・ニュースは2005年内に同ソフトの企業向けバージョンが出ること。2005年末までには出荷されるはずだ。この製品のクライアント版とサーバー版のどちらも,Microsoftが最近買収したGIANT Company Softwareの技術を基にしている。

ディスク・ベースのバックアップ・ソフトDPS
 また,ディスク・ベースでバックアップ&リストアを行うサーバー技術を,Windows Server 2003用のフリーのアドオンとして出すのではなく,別の製品として出すという決定をMicrosoftは下した。その製品は「Data Protection Server(DPS)」と呼ばれる。これは恐らく2005年の早い時期に出荷されるだろう。DPSはWindows Server 2003のストレージ技術のいくつかを強化するもので,ボリューム・シャドウ・コピー・サービス(VSS)も強化される。ソフトウエア・ベンダーで賛同しているのは,CommVault Systems,Computer Associates,Dantz Development(EMCが2004年に買収),NSI Software。ハードウエア・ベンダーはDell,EMC,Hewlett-Packard,NEC,Intel,QLogicである。

Windows Updateを置き換えるMicrosoft Update
 私が「Microsoft Update」について最初に書いたのは2003年6月のことだ。そのときから変わったことは,提供予定時期だけである。現在の予定は2005年半ばになっており,このMicrosoft Updateは同社の新しいソフトウエア・アップデートの基盤になり,Windows Updateを置き換えるだろう。Microsoft Updateは現時点でMicrosoftがサポートする全製品(Windowsだけでなく)をアップデートするはずだ。

2005年半ばはSQL Server 2005でクライマックスを迎える
 「SQL Server 2005」はようやく2005年に出荷される。個人ユーザー向けのバージョンから最大級の企業向けまで,様々なバージョンで出荷される。SQL Server 2005は新しい管理コンソールを内蔵しており,それは以前別々だった様々な管理用フロントエンドと,双方向の「データ転送サービス(DTS)」機能,新しいプログラミング用の機能,そのほかたくさんの特徴を盛り込んでいる。SQL Server 2005のプレビュー・リリースつまり「Community Technical Preview(CTP)」と呼ばれているものが,関心のあるテスターに現在提供されている。

MOMもSMSも統合的に使えるSystem Center 2005
 「System Center 2005」は,「Systems Management Server(SMS)2003 SP1」や「Microsoft Operations Manager(MOM)2005」,そしてユニークなレポート作成ツールを統合した製品だ。ようやくMicrosoftは1つですべてのシステム管理用ソリューションを提供することになる。新しい「System Center Reporting Server」は,従来互換性のなかったSMSとMOMのデータ・バックエンドを分析して,MOMからの運用情報,SMSからの「Change and Configuration Management(CCM)」情報を含めてレポートとして生成する。

新機能が満載されたVisual Studio 2005
 SQL Server 2005と同様に「Visual Studio 2005」は何度も出荷予定が延期されてきた。時がたつうちに,驚くほどずらりと並べた新機能を選りすぐって備えており,クラッとするような製品版の大群として出荷されるだろう。Visual Studio 2005は,初心者プログラマから,大企業クラスのサービスとアプリケーションを開発するいわゆるプロのプログラマまで,その両方をうまくサポートしながら,すべての開発者にとって必須の製品になることを狙っている。Visual Studio 2005は,SQL Server 2005と.NET Framework,ASP.NETそしてそのほかの開発者向けの技術と同時期に出荷されるだろう。

Windows 2000はUpdate Rollupで締め!
 Microsoftは2004年11月,「Windows 2000 Server SP5」の提供計画をキャンセルして,それの代わりにほぼ同じ「Update Rollup」をリリースするつもりだと発表した。このUpdate Rollupは,Windows 2000の公式な葬式と見ることができる。MicrosoftがWindows 2000ユーザーにWindowsの最新バージョンにアップデートしてもらいたいと思っているのは明らかだ。

Windows Server 2003 SP1の後はR2が登場
 「Windows Server 2003 Release 2(R2)」は2005年後半出荷の予定で,「Windows Server 2003 SP1」のカーネルとコードをベースにして,既存のアプリケーションやサービスとの互換性を確保するだろう。R2の新機能はかなり大きく削られた。それでも,SP1の「セキュリティ構成ウィザード(SCW)」と同じように,R2の各機能はコントロール・パネルのプログラムの追加と削除アプレット経由で個別にインストールされる。Windows Server 2003のフィーチャー・パックにある多数の機能を搭載し,出張所などを遠隔地から管理する様々な機能も搭載する。

Windows Mobile 2005とActiveSync 4.0,次期Pocket Officeも
 Microsoftは「Windows Mobile 2005」(開発コード名Magneto)の新しいメジャー・バージョンと「ActiveSync 4.0」を2005年に出荷するだろう。Windows Mobile 2005は最近の2つのリリースと同じく,企業向けにフォーカスして重要な新機能を備えることになる。永続的データ・ストア,よりきれいな見栄えのユーザー・インタフェース,ポップアップ・メニュー内で共通に必要とされる選択肢をコピーするソフト・キー――などを備える。Microsoftは「Pocket Office」もこのリリースで大幅にアップデートする。同アプリケーションはここ数年間アップデートされていなかった。

Windows 2003 SP1,そしてSBS 2003 SP1はすごくなる
 Windows Server 2003 SP1の詳細はよく知られているが(該当サイト),「Small Business Server(SBS)2003 SP1」に関してはそれほど知られていない。これはWindows 2003 SP1のすぐ後に出荷されるに違いない。私は,SBS 2003 SP1がどんなユニークな機能を提供するか期待しているが,私はこれがSBSにSP1を加えた以上のものになると踏んでいる。

SUSの後継ソフトWUS
 Microsoft Updateと同じバックエンドを利用する「Windows Update Services(WUS)」(ウースと読む)は,「Software Update Services(SUS)」の後継であり,様々なバージョンのWindowsとOffice 2003,Office XP,Exchange 2003,SQL Server 2000,そしてMicrosoft Data Engine(MSDE)をサポートし,さらにすべてのIA-64(Itanium)版とx64版のMicrosoft製品を同じものでサポートする。将来的にはWUSはほかの製品もサポートするだろう。WUSはまもなく出荷されるはずで,多分優れたものになる。