(Paula Sharick)

 Windows UpdateでWindows XP Service Pack 2(XP SP2)が入手できるようになって時間がたってきた。XP SP2を適用すると,数々のセキュリティ機能が有効になって安全性が高まるが,デフォルト設定も変更され,アプリケーションに影響する場合がある。ここでは,いくつか分かっているアプリケーション・トラブルを紹介する。

 最初にXP SP2に備わるWindowsファイアウオールのおさらいをしておこう。これはデフォルトでパソコンの内側への通信(着信接続,インバウンド)を,ほぼ禁止することはもうご存知だろう。この制約により,リモート管理ができなくなったり,ピア・ツー・ピア通信が障害を起こしたりする。また,XP SP2を導入したコンピュータをFTPやWebサーバーにしたときも同様だ。Windowsファイアウオールの使い方に関する説明は,サポート技術情報の「Windows XP Service Pack 2でWindowsファイアウォール機能を構成する方法」にある(該当サイト)。

Webサーバーの問題に対処する
 前述のようにWindowsファイアウオールのデフォルト設定は,ほとんどの着信接続をブロックする。サーバー・アプリケーションを動作させるには,各アプリケーションが使うTCP/IPのポートを開ける必要がある。例えば,「IIS(Internet Information Services)」や,IISと一緒に使う「FrontPage Extensions」「SharePoint Team Services」を稼働させて,WebサーバーにしたXPシステムは,デフォルトでは接続が拒否される。

 アクセスを可能にするには,例外としてTCPポート80を開くように,Windowsファイアウオールに設定を追加しなくてはならない。これは「Windows XP Service Pack 2 のインストール後、Webサーバーの機能が正常に実行されないことがある」に詳しい(該当サイト)。また,FTPユーティリティを単独またはAutoCADのようなアプリケーションと組み合わせて使う場合には,TCPポート21を開ける必要がある。詳細は「AutoCAD FTP サービスを使って、リモート Windows XP Service Pack 2-based コンピュータに接続しようとすると、プロジェクトを開くことができない可能性があります」を参照してほしい(該当サイト)。

バックアップ・ソフトのトラブルに対処する
 Windowsファイアウオールのデフォルト設定では,バックアップ・ソフトがネットワーク経由でWindows XP SP2マシンに接続するのを妨げる。Legatoの「NetWorker」,Computer Associatesの「BrightStor ARCserve Backup」,そしてVERITASの「Backup Exec」などでは気を付けたい。対策は,バックアップ・ソフトの通信を例外として許可することだ。この問題に関するより詳細な情報はサポート技術情報の「Windows XPService Pack 2 を実行しているリモート コンピュータをバックアップするために、 Legato NetWorker は使用できません」(該当サイト)と「リモート コンピュータから Windows XP Service Pack 2-based コンピュータをバックアップするために、 コンピュータ関連付ける BrightStor ARCServe バックアップ 9.0 マネージャは使用できません」(該当サイト)と「リモート Windows XP Service Pack 2-based コンピュータをバックアップするために、 Veritas バックアップ EXEC は使用できません」(該当サイト)をそれぞれ参照してほしい。

ウイルス対策ソフトでの障害に対処する
 McAfee,SOURCENEXT,SonicWALL,Command AntiVirusなど一部のウイルス対策ソフトは,XP SP2で問題が発生する。ソフトを起動できなかったり,システム・クラッシュを起こしたりと様々な現象を示す。問題は,ソフトのバージョンが古いほど起こりやすい。

 7.0より古い「McAfee VirusScan Professional」をインストールしようとすると,XP SP2は「問題が発生したため、Webscanx.exe を終了します。ご不便をおかけして申し訳ありません」というメッセージを表示して,インストールが失敗する(該当サイト)。McAfeeの「Internet Security Software 4.0」も同じ症状を示すので,正しく動くようにアップデートしなければならない。

 SOURCENEXTの「VirusSecurity 2004」は「k7sentry.sys」というスキャナ・ドライバを呼ぶために,標準ではないテクニックを使っている。この方法がもう使えないので,XP SP2はドライバが起動できなくなり,VirusSecurityのリアルタイム・スキャンは無効になる(該当サイト)。SOURCENEXTのWebサイトで,最新版「VirusSecurity 2005」のアップデートを勧めている(該当サイト)。

 SonicWALLの「Complete Anti-Virus」ソフトウエアは,自動アップデート機能を独自のサービスで実装している。XP SP2でセキュリティが改良されたことで,すべてのサービスはrunおよびactivateの権限を付けて,インストールする必要がある。独自のサービスでこうした権限がないとき,XP SP2はサービスを起動しない。つまりSonicWALLの自動アップデート機能は,自動モードでも手動モードでも動かない(該当サイト)。ユーザーはSonicWALLが対応するまで,XP SP2をインストールせずに待つべきだろう。同じ問題で,既にXP SP2にアップグレードしたマシン上に,SonicWALLの新規インストールをすると失敗する。SonicWALLのWebサイトを参照してほしい(該当サイト)。

 Anthemiumの「Command AntiVirus 4.62.4」スキャン・ソフトウエアは,0x0000007fのSTOPコードと「Bug check Symbolic Name」というメッセージを表示してXP SP2をクラッシュさせる。XP SP2に対応するアップデート版があるので,それを入手してほしい(該当サイト)。

ドライバ関係のトラブルに対処する
 「Daemon tools」や「Alcohol CD/DVD」といったソフトが稼働しているシステムでは,XP SP2にアップグレードするとき,「Atapi.sysがコピーできない」というエラー・メッセージを表示して処理が終了する。どちらのアプリケーションもディスク・ドライバをロックするためだ。いったんセットアップをキャンセルし,アプリケーションをアンインストールしてからアップグレードを再開することで対処できる。

 UMAX製のスキャナ・ドライバをインストールしてあるXPシステムを,XP SP2にアップグレードすると,セットアップが終わったときに,システムが何度も続けて再起動することがある。この問題を解決するには,マシンをセーフ・モードで再起動して,スキャナ・ドライバをアンインストールする。それからやはりセーフ・モードで起動してコマンド・プロンプトから[プログラムの追加と削除]を使ってXP SP2を削除する必要がある。コマンド・プロンプトで[プログラムの追加と削除]を開くには「appwiz.cpl」を実行する。プログラム・リストからWindows XP SP2を指定して[削除]を押し,処理が終わったら再起動する。

OOBEなどのユーティリティによる障害に対処する
 Hewlett-PackardのシステムでOut-of-Box-Experience(OOBE)インターフェースを使っている場合に「XP Setup is incompatible with this version of windows」(XPセットアップはこのバージョンのWindowsと互換性がありません)というエラー・メッセージが出て,XP SP2のインストールが失敗することがある。OOBEインターフェースのメソッドが,回復コンソールのSP1版をインストールするのが原因だ。

 この問題に取りあえず対処するには,XP SP2のアップグレードを始める前に3つのレジストリ・キーを削除すればよい。修正場所の詳細はMicrosoftのサポート技術情報の記事「Hewlett-Packard製コンピュータに Windows XPService Pack 2 をインストールすると、「このバージョンの Windows と Windows XP セットアップが不一致」なエラー メッセージを表示します」を参照してほしい (該当サイト)。

 原因は,OOBEをインストールしたシステムでは,OOBEのセットアップ作業が完了するまでアプリケーションを起動できないことだ。上記方法を使ってXP SP2をインストールする場合,「XP起動時に実行されるスクリーン・リーダー」と「キーボード・ショートカットを使って実行されるスクリーン・リーダー」は動かなくなる。この問題を回避する方法は,Microsoftのサポート技術情報の記事「OOBEを使用してWindows XP Service Pack 2をインストールすると、スクリーンリーダーソフトウェアが機能しないことがある」(該当サイト)を参考にしてほしい。

 また,BootSkin Stardockの「BootSkin」というソフトウエアは,システムが起動するとき,スクリーン・ドライバを使ってXPのスタートアップ・スクリーンを表示するところでハングする。この状態を避けるには,アップグレード前にBootSkinを切っておき,アップグレードが終わってシステムが起動し終わるまで,そのままにオフにしておくこと。もし,XP SP2のインストール後の再起動時にBootSkinが有効になっていると,そのマシンは0x00000050のSTOPコードとPAGE_FAULT_IN_NONPAGED_AREAというテキストを表示してクラッシュする。

USBドライバのバージョン表示問題に対処する
 XP SP2では,新バージョンのUSBドライバに置き換えたにもかかわらず,そのシステム上に古いバージョンのUSBドライバを誤表示してしまう問題がある(該当サイト)。修正するには,デバイス・マネージャを起動して,古いバージョン名を表示しているUSBドライバを選択して,[ドライバの更新]ボタンをクリックする。ドライバのアップグレードが完了すると,デバイス・マネージャはドライバの正しいバージョンを表示するはずだ。