(Brian Moran)

 Microsoftは「SQL Server 2005」(開発コード名Yukon)を開発者にとって第1のデータベース環境となるようにしたいと願っている。Microsoftベースの開発ツールを使っている開発者の毎日を,より楽なものにするために,Visual Studioに似たインターフェースや,Microsoft.NETの統合など,たくさんの新機能が設計されている。

 だが何てことだ!Microsoftはデータベース・ベンダーのビッグ3の中で,.NETをネイティブ・サポートするデータベース・プラットフォームを販売する最初の会社になれないかもしれない。

「DB2 Magazine」の記事にショック!
 SQL Serverのプロにとって,IBMのDB2とOracleの世界で起きる重要な進歩を無視するのは簡単だ。しかし,DB2はSQL Serverの栄光を盗み,直接そのデータベース・エンジン内で.NETと共通言語ランタイム(CLR)を徹底的にサポートする最初の製品になるかもしれない。「DB2 Magazine」の最新号を読んで,私はまるで自分が「SQL Server Magazine」か,MSDNを読んでいるかのように感じた。

 すべての記事がこの秋にリリースされると思われる「DB2 UDB 8.2」(開発コード名Stinger)を持ち上げていた。以下に,SQL Server 2000とSQL Server 2005の解説本からそのまま引っ張ってきたような,Stingerの特徴をいくつか挙げてみよう。

●自動チューニング機能。DBA(データベース・システムの管理者)をフルタイムで雇えない中小規模の企業を狙ったDesign Advisorを含む
●データベース・エンジン内で稼働するCLRの1バージョンを使ってホストされたあらゆる.NET準拠の言語で,ストアド・プロシージャとユーザー定義関数(UDF)を書けること
●DBAと開発者を支援するためのウィザードの追加
●WebサービスとADO.NETクラスの自動生成
●Visual Studio .NETのクロスランゲージ・デバッガを強化するサーバー・サイドのデバッグ機能

DB2は「SQL Server以上に優れたSQL Server」になれるか
 IBMは,SQL Serverとそのホームグラウンドで対決する計画を立てている。Visual Studio開発者向けに,自分たちがよくなじんだ開発モデルと変わらないような使い勝手のデータベースを提供し,「SQL Server以上に優れたSQL Server」にしようと一生懸命なのだと思う。

 明らかに私が読んだ記事は,宣伝用の誇大表現でいっぱいだった。しかし,StingerがWindows開発者に対して,本当にネイティブなままだと感じられるようなVisual Studioの統合機能を提供するのかどうなのか――私はその直接の判断材料を持っていない。だから,私はSQL Serverの開発者にあきらめて降参し,DB2に移行するようにとは勧めていない。というか,SQL Serverのプロ技術者で,競合他社が市場に提供しているものを心得ている人は,大事に扱われるということだ。

祈ろう,信じよう,ほめてあげよう
 ビッグブルーの製品を全社で展開し,メインフレーム版のDB2に多大な投資をしていて,さらにWindows開発者の大きなグループを抱えている会社は,ライト・サイジングの作業のためのプラットフォームを選択する際には,きっと面白い評価と比較がされるだろう。少なくとも,もしIBMがデータベース・エンジン内で.NET CLRを直接サポートする最初の大手データベース・ベンダーになれば,Microsoftは恥ずかしい思いをすることになる。多分,MicrosoftはIBMをほめるべきだ。彼らはWindowsの開発環境と緊密に統合させることを,DB2 UDB 8.2用の最優先事項にしたのだから。しかし,Stingerが.NETとの統合を宣伝する最初の製品になるならば,Microsoftの舞台裏ではきっと何人かは爪をかんでいるだろうと思う。われわれは,SQL Server 2005が待つだけのかいがあるもので,Windows開発者にとって「売り出された最良のSQL Server」のままであり続けると期待しなければならない。