(Sue Mosher)

 米軍は長い間Microsoft Exchange ServerとOutlookの最大ユーザーの1つである。ほかの組織と同様に,大量の情報に悩まされており,電子メール,とりわけOutlookの効果的な利用法をユーザーに教育する努力をしている。その中で米空軍は22ページにわたる「指揮官向けの電子メール管理ガイド(Commander's Guide to Managing E-mail)」を提供している。有益なヒントが多く,これまで見た中で最良の事例の1つである。

 「電子メールのポリシーを確立したい」「ユーザーが受信トレイを無駄に操作する時間を減らしたい」「電子メールを使って仕事を素早く終えたい」――などの要望を持つ組織には参考になることが多い。そこに掲載された数々のガイドラインは,経験豊かな管理者と初心者レベルのユーザーの両方が恩恵を受けられるようになっている。例えば,組織が電子メールにどんな重要性を持たせるか,メッセージに対してみんながどれくらい素早く応答すると考えるか,そして組織内における「ネチケット(ネット上のエチケット)」という基本的なルールは何かを解説している。

分かりやすいトップ10のリストで始まっている
 このガイドは,トップ10のリストで始まっている。それはポリシーの部分と実際的なアドバイスの部分から構成される。例えば,8番目のルール「返事が絶対に必要なときだけメールに返事する」に従えば,どれくらいあなたのメールボックスが整然としてくるかを想像してもらいたい。4番目のルールも気に入っている。それは「メールのタイトルには,メッセージの内容が分かるキーワードを入れるべきだ」というものだ。

 書き方に関しては,明快さ,簡潔さ,丁寧さ,そして最小限の皮肉とユーモアを勧めている。一番大事なことは最初の段落に書くべきで,メッセージ全体は普通3段落以下,または最大化したウインドウに表示できるテキストの分以下にすべきだ――とする。もっと長い文書を送る場合は,ファイルを共有ドライブやWebサイトまたはExchangeのパブリック・フォルダに置き,それへのリンクをメールで送ることを勧めている。それがファイルを添付するよりも望ましいという。

メールを4つないし5つに分類するように指示
 また,受信トレイを整理するため,メールを4つないし5つに分類するように指示している。トップ・レベルは24時間以内に返事をする必要があるメールである。次のレベルは,上官か同僚の人からのメールだ。Office Outlook 2003に備わる6色のメール・フラグ機能を使うと,簡単にメッセージを色分けできるようになる。

 中級管理者向けの1ダース以上のTipsも非常に参考になる。「部下と交流を避けるために電子メールを使わないこと」「あなたの電子メールが(必ず)受け取られて理解されると思わないこと。とりわけ仕事を命ずるときや質問するときは,内容が正確に伝わったかを確認すること」の2つは非常に重要だろう。さらに電話をかけたり訪問したりするほうが,電子メールより効率的なことが多い点も示されている。

 このガイドでは,ユーザーが非公式あるいは個人的な用途で電子メールを使う場合についても明快に規定している。冗談はだめだが,節度ある量の個人利用はOKだ。公的な記録の管理の必要性についても記載されている。あなたの組織では従業員に対して電子メールが後々のためにどう保存されているか,はっきり説明しているだろうか?

実用情報が画面やイラストを交えて紹介
 また,ポリシーとエチケットに加えて,多くの実用情報がスクリーンショットやイラストを交えて紹介されている。例えば,古いメッセージを保存して整理するなど,Exchangeのメールボックスのサイズを制御するためのOutlookの使い方が説明されている。自動仕訳ウィザードの使い方の解説は,特にきめ細かい。例えばルールの条件設定でタイプ・ミスを防ぐために既存のメッセージからルールを作る方法や,特定メッセージの処理で1つのルールのみを適用するための「処理中止」機能の使い方,.rwzファイルをエクスポートすることでルールをバックアップする方法などに触れている。

 メッセージを転送する前にフラグをクリアするTipsも非常に役立つ。フラグつきのメッセージを転送する場合,Outlookが元のメッセージからフラグをコピーすることはあまり知られていない。メッセージにフラグの期間が設定されていれば,転送先の受信者のフォルダ・リストの中で文字が赤くなるし,さらに受信トレイの中に置いたままだとリマインダをポップアップする。あなたのボスはそのような状況を評価しないだろう。

 すべての組織は,期待されるメールの使い方や,仕事を効果的に進めるための電子メール・ツールの利用法をスタッフへ説明するべきだ。電子メールのスキルは各人各様である。経験豊かな弁護士が電子メールは初心者ということもある。もし,Outlookを電子メール・ツールとしてお使いなら,「指揮官のための電子メール管理ガイド」(Air Commander's Guide to Managing E-mail)は社内ポリシーや教材を作り始めるために使える,良質で詳細な例になる。

編集部注:「Commander's Guide to Managing E-mail」(該当サイト)は,2004年6月4日現在アクセスできなくなっています。