最近になって米Microsoftは，次期SQL Server「Yukon」と次期Windows「Longhorn」（いずれも開発コード名）をリリースするまでの空いた期間に，現行製品を強化するため突然Windowsの出荷計画を変更することになった。

先週はWindows XPのアップグレード版「Windows XP Reloaded」（開発コード名）が明らかになり（既報その1，その2），今週次期Windows Server「R2」（開発コード名）のニュースを報告した（既報）。今回それに加えて，Windows XPの企業向けバージョンアップである「D2」（開発コード名）についても話をしよう。合わせて「R2-D2」ということなのだろうか…

Windows Server 2003 R2は
既に公開された追加機能がパックされたもの
　Windows Server 2003の発表から1年が過ぎ，GPMC（グループ・ポリシー管理コンソール）やSUS（セキュリティ・アップデート・サービス），RMS（ライツ・マネージメント・サービス）など数々の追加機能が公開された。Windows Server 2003 R2が登場する理由はそこにある。R2には，これらすべての追加機能が組み込まれる。そうなれば，アップグレードしていないユーザーに対して，Longhorn前に優れたWindows Serverを訴求することになる。

　次期Windows Serverはどうなるのか。Microsoftはそれを「Blackcomb」とは呼んでいない。しかも，クライアント向けのLonghornに合わせて，次期Windows Serverを出すこともないだろう。出荷時期，その他の機能，価格などはまだ決まっていない。分かり次第，報告することにしよう。

Windows XP D2は2003 R2と一緒に出る
　しばらく前に私は別のうわさ話を聞いた。R2は，クライアント向けの「Windows XP D2」というWindows XPのアップグレード版といっしょにリリースするというのだ。恐らく，D2は企業向けを意識したクライアントOSのアップグレードで，Windows Server 2003が出てからWindows XPの2番目のリリースになる。

　先週Microsoftは，Windows XP Reloaded（開発コード名）を2004年末に出荷することを明らかにした。これは，「Windows XP Service Pack 2」に，Windows Media Player（WMP）の最新版，そのほかファン向けのお楽しみ機能をまとめてパッケージ化したものだ。D2は，そのReloadedとは別もので，Reloadedをプロフェッショナル向けにしたものである。

　同社はWindows XP SP2を2004年半ばにリリースして，セキュリティを向上させるために，なるべく多くのユーザーにSP2へ移行してもらいたいと思っている。そのために，時間と労力をつぎ込む予定だ。新しいXPの暫定版は，ただ消費者の購入を混乱させるだけだろう。

未来に遠のくLonghorn
　このような様々なアップグレード話を聞いて，読者のみなさんは，Longhornは遅れるかもしれないと思うだろう。その通りだ。最近になってMicrosoftの広報は，Longhornの開発から人員を引き抜いて，XP SP2に回したことを認めた。そしてLonghornは，XP SP2が出るまでは，最優先課題から外れているらしい。

　Microsoftのある人の話では，同社は昨年（2003年）暮れからLonghornの新しいビルドを開発していないにもかかわらず，他の様々な製品グループには，Longhornにまつわる技術開発を継続するようにいっているそうだ。一方，数多くいWindowsの開発チームの中から，XP SP2を世に送り出すために人が集められている。

　いまや，XP SP2は最優先事項になっている。かつてWindows Server 2003の作戦司令室にいたTodd Wanke氏は，現在XP SP2の作成指令室に陣取っている。彼が担当するからには，きっとこの製品が高い品質のものになるだろう。同社の開発能力が直近の製品に割かれているため，Longhornは将来の話に遠のいてしまった。

　私は最終リリース時期は推測しないが，ある程度いえることは，Longhornのベータ1を今年夏に出す可能性は低いと思う。同社は2004年にベータ1，2005年にベータ2を出す約束をしている。恐らく，いままでのWindowsのベータ版とは違って，数多くのベータ版がリリースされるだろう。